お年頃 (R.ver)
2017/06/09
世代別オムニバス【お年頃編】です。R-15程度。
拍手話と併せてお楽しみください。
拍手話と併せてお楽しみください。
+ + + + +
「ちょっと」
「あんだよ」
「あんたって人はっ。女のつつしみがないの!?」
「な・に・が・女のつつしみだよ」
そう言って怒りながら、毎度じょぼじょぼと頭から湯を掛けてくるのはお節介な許嫁。
最初はただ気のつえーはねっ返りとしか思っていなかったが、こいつと一緒にいるとわかるのは超が付くくらいの正義感と、芯のある優しさで。
今ではあかねがヤカンを持って来てくれるのを心のどこかで期待しながら、おれは女になっちまった状態でも上半身を隠すことなく縁側をウロウロするなんてことなんてしょっちゅうだった。
そんなある日、とうとう見兼ねたあかねの堪忍袋の緒が切れた。
「あんたねぇっ、いい加減にしなさいよっ!?」
「なにがだよ」
「だからその胸っ!少しくらい隠すなり服を着るなりしなさいっ」
「やだよ。濡れてて気持ちがわりーんだもん」
「じゃあ拭きなさいよ」
「それにあちーし。いーじゃねーか、中身は男なんだからよ」
「よくないっ!」
「なんだよ。もしかしておれの乳が羨ましいのか?」と真顔で尋ねれば、それはそれはキレイにあかねの右手がおれの頬にヒットする。
「いってーっ!」
「今のはあんたが悪いんでしょっ!」
「……………凶暴女」
「なんですってぇ!?」
い…っ、
いってぇぇええ!!
だ、だから凶暴も間違ってねえじゃねーかっ!
おれがジンジン痺れる両頬を押さえながら涙目になっていると、心底呆れたようにあかねが吐き捨てる。
「ねえ。あたし達って一応、お年頃なのよ?」
「だからなんだよ」
「もしも。もしもよ?あたしがあんたと同じ格好してたらどう思う?」
「へ?」
「目のやり場に困ると思わない?」
「め、目のやり場って…」
「だから。あたしがそんな恰好でフラフラ家の中を歩いてたら困るでしょって言ってるの」
「そんな、恰好…?」
おれは自分の姿をまじまじと見下ろす。
が、身に付けているものは男物のパンツ一枚。
かろうじて今あかねが持って来てくれたばかりのタオルを肩から掛けているが、見えるところはばっちり見えている。
「お、おおおおめーがこの恰好でフラフラって……」
「…あっ、ち、違うのっ!そ、それはものの例えでっ、」
途端にカア…と熱が頭に上ってくる。
見れば目の前のあかねも真っ赤に染まって、その指先までもほんのりと色付いているようだ。
「ちょ…っ、バ、バカッ!見ないでよ!」
「なっ、何も見てねーよっ!」
っつーか見えねーよっ!
あかねときたらオーバーに胸の前を手で押さえ、「違う、違う!」と繰り返すだけ。
「い、言っとくけどなぁっ!おめーのつまんねー胸なんか見たってちっとも嬉しくなんかねーんだからなっ!?」
「つまんないってなによ、つまらないって!」
「うるせえっ!悔しかったらおれくらいデカくなってから言えっ!」
「最低っ!あんたは乳がデカけりゃいいわけっ!?」
「べ、別にそーゆーわけじゃねーけど、」
「あ、ちょ、ちょっと!なに人の胸見てんのよっ!」
「バ…っ、み、見てねえっ!誤解だっ!誰がそんな小せえ胸、」
「まだ言うかっ!」
「だーっ!お、落ち着けっ!流石にテレビはまずいっ!」
ゴゴゴゴ…と殺気立つオーラを全身に纏いながら、居間のブラウン管テレビを持ち上げるあかねを必死で宥める。
なんとかテレビが脳天直撃の難を逃れたものの、未だあかねの怒りは収まらないらしい。
しょうがねえ。
気は進まねーが、ここはひとつ優しい慰めの言葉でも掛けてやるか。
「なあ あかね」
「なによ」
「胸が大きいと、」
「肩が凝って困るんだよとでも言うつもりじゃないでしょうねっ!?」
「お、おめー、すげーな。おれが言おうとしてたことを」
「バカっ!その自慢なら前も聞いたわよっ!」
しまった。そうだったか。
どうやらおれの優しさが空回りしてしまったらしい。
でも、じゃあ一体どうすりゃいーんだよ。
そんな悩めるおれに、尚もあかねが食ってかかる。
「だ、大体ねえ、あたしだって少しは成長してるんだからっ!」
「……」
「…なによ、その疑いの眼差しは」
「あかね…無理すんな。人には得手不得手があって、おめーにはずん胴貧乳の幼児体型が――」
「真面目に人の話を聞けっ!」
お、惜しい…。
あともう少しで見えそうだったスカートの中は、あかねのきれいな蹴りによっておれの視界を見事に足の裏が覆う。
「ふんだっ!そのうち あんたより女らしくなってみせるんだからっ!」
「ほおー、そりゃ楽しみだ」
「そうやって余裕かましてられるのも今のうちよっ」
「へーへー。おめーがおれより女らしくなった日には土下座でも何でもしてやらぁ!」
「言ったわねっ!?その台詞 忘れないでよねっ」
「おうっ!言っとくけどなぁ、宣言したからにはおめーもちゃんとおれに見せろよ!?」
「のぞむところよっ!」
お互い「ふんっ!」と鼻息荒く顔を突きつけ、最後は「べーっ!」と赤い舌を出してドスドスと居間を出て行く後ろ姿を、負けず劣らずおれも精一杯の悪態をついて見送る。
なんだよ、あかねのバカ野郎。
別におれは あかねだったら乳がデカかろーと小さかろうと気にしねーってのに。
と。
そこまで考えて、ハタと気付く。
え、ちょっと待て。
さっきのって、
なあ?
"言っとくけどなぁ、宣言したからにはおめーもちゃんとおれに見せろよ!?"
"のぞむところよっ!"
あれって。
いつか、あかねの………を、見せてくれるってことだろうか?
で、でも あれは勢いだったし。
い、いや、でも約束は約束だからな、うん。
格闘家たるもの、嘘は断じて許せねえ。
おれは青くなったり赤くなったり信号人間になりながら、わたわたと一人縁側でさっきのやり取りを反芻する。
その脳裏に浮かぶのは、胸の前をぎゅっと押さえるあかねの姿。
心なしか、その白いブラウスがだんだんと透けていっているように思えてならない。
い、いかんいかん。
もっと別のことを考えろっ!
しかし、そう思えばそう思うほど、二つの膨らみが微笑みかけるようにおれの脳を揺さぶり刺激してくる。
…ん?
揺さぶり…?刺激、だと……?
って 違う、そうじゃねえ。
もっと大人への階段を上る、男らしく成長したところを見せようじゃねーか。
そう、たかが乳。乳が成長したってだけじゃねえか。
いや、でも待てよ?
あたしだって少しは成長したっつってたよな。ってことは最初に見た時…いや、一緒の試着室で目にしたあのブラジャー姿よりかも更にデカくなったということだろうか。
いや、別にデカけりゃいいってもんじゃねえ。
けど 世の中には“大は小を兼ねる”という言葉があってだな。
そこにあかねのきめ細やかな肌の質感が加われば、おれのものとはまた違う魅力が……
「……ま、まずい、」
今が女の姿で良かったと心の底から思うと同時に、おれはホカホカと湯気を立てる湯を頭からかぶると、一人きりになれる場所へといそいそ移動する。
え?
そこで何をしてるかって?
それはおれのイメージを著しく侵害するため、割愛させていただこう。
かくして。
それからおれは、女の裸の姿でうろつくことはなくなった。
< END >
「ちょっと」
「あんだよ」
「あんたって人はっ。女のつつしみがないの!?」
「な・に・が・女のつつしみだよ」
そう言って怒りながら、毎度じょぼじょぼと頭から湯を掛けてくるのはお節介な許嫁。
最初はただ気のつえーはねっ返りとしか思っていなかったが、こいつと一緒にいるとわかるのは超が付くくらいの正義感と、芯のある優しさで。
今ではあかねがヤカンを持って来てくれるのを心のどこかで期待しながら、おれは女になっちまった状態でも上半身を隠すことなく縁側をウロウロするなんてことなんてしょっちゅうだった。
そんなある日、とうとう見兼ねたあかねの堪忍袋の緒が切れた。
「あんたねぇっ、いい加減にしなさいよっ!?」
「なにがだよ」
「だからその胸っ!少しくらい隠すなり服を着るなりしなさいっ」
「やだよ。濡れてて気持ちがわりーんだもん」
「じゃあ拭きなさいよ」
「それにあちーし。いーじゃねーか、中身は男なんだからよ」
「よくないっ!」
「なんだよ。もしかしておれの乳が羨ましいのか?」と真顔で尋ねれば、それはそれはキレイにあかねの右手がおれの頬にヒットする。
「いってーっ!」
「今のはあんたが悪いんでしょっ!」
「……………凶暴女」
「なんですってぇ!?」
い…っ、
いってぇぇええ!!
だ、だから凶暴も間違ってねえじゃねーかっ!
おれがジンジン痺れる両頬を押さえながら涙目になっていると、心底呆れたようにあかねが吐き捨てる。
「ねえ。あたし達って一応、お年頃なのよ?」
「だからなんだよ」
「もしも。もしもよ?あたしがあんたと同じ格好してたらどう思う?」
「へ?」
「目のやり場に困ると思わない?」
「め、目のやり場って…」
「だから。あたしがそんな恰好でフラフラ家の中を歩いてたら困るでしょって言ってるの」
「そんな、恰好…?」
おれは自分の姿をまじまじと見下ろす。
が、身に付けているものは男物のパンツ一枚。
かろうじて今あかねが持って来てくれたばかりのタオルを肩から掛けているが、見えるところはばっちり見えている。
「お、おおおおめーがこの恰好でフラフラって……」
「…あっ、ち、違うのっ!そ、それはものの例えでっ、」
途端にカア…と熱が頭に上ってくる。
見れば目の前のあかねも真っ赤に染まって、その指先までもほんのりと色付いているようだ。
「ちょ…っ、バ、バカッ!見ないでよ!」
「なっ、何も見てねーよっ!」
っつーか見えねーよっ!
あかねときたらオーバーに胸の前を手で押さえ、「違う、違う!」と繰り返すだけ。
「い、言っとくけどなぁっ!おめーのつまんねー胸なんか見たってちっとも嬉しくなんかねーんだからなっ!?」
「つまんないってなによ、つまらないって!」
「うるせえっ!悔しかったらおれくらいデカくなってから言えっ!」
「最低っ!あんたは乳がデカけりゃいいわけっ!?」
「べ、別にそーゆーわけじゃねーけど、」
「あ、ちょ、ちょっと!なに人の胸見てんのよっ!」
「バ…っ、み、見てねえっ!誤解だっ!誰がそんな小せえ胸、」
「まだ言うかっ!」
「だーっ!お、落ち着けっ!流石にテレビはまずいっ!」
ゴゴゴゴ…と殺気立つオーラを全身に纏いながら、居間のブラウン管テレビを持ち上げるあかねを必死で宥める。
なんとかテレビが脳天直撃の難を逃れたものの、未だあかねの怒りは収まらないらしい。
しょうがねえ。
気は進まねーが、ここはひとつ優しい慰めの言葉でも掛けてやるか。
「なあ あかね」
「なによ」
「胸が大きいと、」
「肩が凝って困るんだよとでも言うつもりじゃないでしょうねっ!?」
「お、おめー、すげーな。おれが言おうとしてたことを」
「バカっ!その自慢なら前も聞いたわよっ!」
しまった。そうだったか。
どうやらおれの優しさが空回りしてしまったらしい。
でも、じゃあ一体どうすりゃいーんだよ。
そんな悩めるおれに、尚もあかねが食ってかかる。
「だ、大体ねえ、あたしだって少しは成長してるんだからっ!」
「……」
「…なによ、その疑いの眼差しは」
「あかね…無理すんな。人には得手不得手があって、おめーにはずん胴貧乳の幼児体型が――」
「真面目に人の話を聞けっ!」
お、惜しい…。
あともう少しで見えそうだったスカートの中は、あかねのきれいな蹴りによっておれの視界を見事に足の裏が覆う。
「ふんだっ!そのうち あんたより女らしくなってみせるんだからっ!」
「ほおー、そりゃ楽しみだ」
「そうやって余裕かましてられるのも今のうちよっ」
「へーへー。おめーがおれより女らしくなった日には土下座でも何でもしてやらぁ!」
「言ったわねっ!?その台詞 忘れないでよねっ」
「おうっ!言っとくけどなぁ、宣言したからにはおめーもちゃんとおれに見せろよ!?」
「のぞむところよっ!」
お互い「ふんっ!」と鼻息荒く顔を突きつけ、最後は「べーっ!」と赤い舌を出してドスドスと居間を出て行く後ろ姿を、負けず劣らずおれも精一杯の悪態をついて見送る。
なんだよ、あかねのバカ野郎。
別におれは あかねだったら乳がデカかろーと小さかろうと気にしねーってのに。
と。
そこまで考えて、ハタと気付く。
え、ちょっと待て。
さっきのって、
なあ?
"言っとくけどなぁ、宣言したからにはおめーもちゃんとおれに見せろよ!?"
"のぞむところよっ!"
あれって。
いつか、あかねの………を、見せてくれるってことだろうか?
で、でも あれは勢いだったし。
い、いや、でも約束は約束だからな、うん。
格闘家たるもの、嘘は断じて許せねえ。
おれは青くなったり赤くなったり信号人間になりながら、わたわたと一人縁側でさっきのやり取りを反芻する。
その脳裏に浮かぶのは、胸の前をぎゅっと押さえるあかねの姿。
心なしか、その白いブラウスがだんだんと透けていっているように思えてならない。
い、いかんいかん。
もっと別のことを考えろっ!
しかし、そう思えばそう思うほど、二つの膨らみが微笑みかけるようにおれの脳を揺さぶり刺激してくる。
…ん?
揺さぶり…?刺激、だと……?
って 違う、そうじゃねえ。
もっと大人への階段を上る、男らしく成長したところを見せようじゃねーか。
そう、たかが乳。乳が成長したってだけじゃねえか。
いや、でも待てよ?
あたしだって少しは成長したっつってたよな。ってことは最初に見た時…いや、一緒の試着室で目にしたあのブラジャー姿よりかも更にデカくなったということだろうか。
いや、別にデカけりゃいいってもんじゃねえ。
けど 世の中には“大は小を兼ねる”という言葉があってだな。
そこにあかねのきめ細やかな肌の質感が加われば、おれのものとはまた違う魅力が……
「……ま、まずい、」
今が女の姿で良かったと心の底から思うと同時に、おれはホカホカと湯気を立てる湯を頭からかぶると、一人きりになれる場所へといそいそ移動する。
え?
そこで何をしてるかって?
それはおれのイメージを著しく侵害するため、割愛させていただこう。
かくして。
それからおれは、女の裸の姿でうろつくことはなくなった。
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comment
ブラウスが透けて見えてくるその妄想力ww
そうだよね、16歳だもね、うんうん。
拍手のあかねも乱馬に見とれちゃって、それがまた恥ずかしくて、でもやっぱり気になっちゃう感じが可愛かったです〜♡
こんばんは☆
お返事が遅くなってしまってすみませんっ💦。
もう既に大学生編のお話をUPしているだけにネタバレ感が半端じゃないのですが、この葛藤あってのあのお話ですから(*^^*)。
一緒に暮らしているうちはお互いモダモダしていればいいさ♪と願う自分がいます。
最近ピュアピュア高校生編ばかりを書いていたような気がするので、おバカな男子高校生の妄想を吐き出せてスッキリ✨。
あ、違います、このスッキリはそっちのスッキリとは違いますったら。←
こんばんは☆
もう既に大学生編を投稿してしまっているのでネタバレ感が拭えないのですが、高校生には高校生の、大学生には大学生のドキドキポイント(なに、このネーミングセンスのなさ)があればいいなぁと思って書きました。
同じ家に住んでたら他にも色々ありそうですよね(*^^*)。
高校時代は乱馬が、大学生になってからはあかねちゃんが大変かな?いや、でも…。
お互いが意識し合ってモダモダしているのがかわいくて堪らない最近のピュアkohです♡←
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