無防備な彼女と不埒な彼 

2017/06/12
こちらは【お年頃】の続編となり、大学生編で乱馬が一人暮らしをしています。※R-15程度
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互いの気持ちの良いところを存分に堪能した後、ベッドの上で重なり合うように横になっていたおれは ゆっくりと瞼を開けた。
どうやら少し微睡(まどろ)んでいたらしい。
ちょっと目を閉じるだけのつもりだったが、深い眠りから覚めた後のように 全身がじんじんと痺れている。
頭をぼんやり薄い膜で包まれたような気だるさは、何とも言えない心地よさだ。


(今、何時だ?)


何となくそのまま行為にもつれ込んだため、今さら時計を確認してもあまり意味はない。
だが たまに一日の大半をベッドの中で過ごしてしまった時、
「もう。これじゃ まるで…ッチだけしに来たみたいじゃない」
と 拗ねる素振りを見せるあかねに怒られないよう、念のため。
まあ、そこで「やなの?」と聞けば、「べ、別に嫌じゃないけど…」とたちまち赤くなるから、また手離すタイミングを失ってしまうんだけど。


「ん…」

くるんと上を向いた睫毛を微かに震わせ、腕の中でもぞりとあかねが身動ぎする。無意識にぺたぺたおれの身体を這う小さな手が、妙にくすぐったい。
そのままぎゅっと抱き寄せたら、肩までかぶった肌掛けの中から 少しだけ舌足らず気味に囁くあかねの声が聞こえた。

「乱、馬……?」
「おー。起きたか?」
「ん……あたし…、寝ちゃってた…?」
「みてーだな。っつっても せいぜい三十分…いや、二十分程度だと思うけど」
「そう…」


あかねが喋る度、温かい息が胸の前に広がる。
瞬きをする度に掠(かす)る睫毛の先が素肌に触れてなんともこそばゆいのだが、身体を離す気にはなれなくて。
布一枚隔てず抱き合った肌はじっとりと汗ばみ、布団の中まで湿っているようだった。
暫くそのままの状態でフワフワとした会話を交わす。
が、だんだん意識がはっきりしてくると 今度はひどく喉が渇いていることに気付き、おれはベッドの下に落とした下着を拾うとそのまま冷蔵庫の前に移動した。
ガチャリと扉を開けた瞬間、胸に当たるひやりとした冷気がなんとも気持ちいい。



「乱馬、これ貸して」


そう言って素肌の上におれの黒いタンクトップをかぶるのは、他に一糸まとわぬあかねだ。
もう両手の指では足りない程肌を重ねているのに、行為の後は未だこうして恥じらいを捨てきれないあかね。とはいえ 腰から下は掛け布団の中に入ったままで、そこはまだ下着にも覆われていないのだけれど。
布一枚を纏ったことで安心したのか、先程までしっかりと胸の位置に引っ張り上げていた布団は腰の前でもそりと丸く膨らんでいる。
カーテンを閉め切りいくらか薄暗くなっているとはいえ、部屋の中はまだ電気を点けなくても充分に視界が効いた。
そんなあかねの姿を、再びベッドの縁に腰掛けたおれはじっと見つめる。


「な、なに?」

差し出したペットボトルの水を素直に受け取りながら、少しだけ頬を赤らめる。
高校生の頃、嫌というほど上から見下ろしたあかねの表情。その距離がぐんと近くなった今、相変わらずおれを見つめる瞳は大きく、うっすらと潤んでいる。
まだ汗でしっとりと湿った前髪を雑に掻き分けてやりながら、おれはあかねの手からまたペットボトルを奪うと、そのままゴクゴクと音を立てて半分ほど飲んだ。
火照った身体に冷たい水が一気に流れ落ちていくのを感じ、胃の辺りでキュウっと小さな音が鳴る。



「…女のつつしみかぁ」


ふと懐かしいことを思い出し、なんとなく声に出して言ってみる。
確かにそうだな。
あの頃は何の抵抗もなく乳だの何だの晒してたけど、そんな恰好でフラフラされりゃあ 他の奴らは堪ったもんじゃなかっただろう。
おれはあかねが足に掛けている布団をめくると、そのまま真っ正面に胡坐をかいて向き合う。
咄嗟にタンクトップを膝の前まで引っ張り、慌てるのはあかねだ。


「ちょ、ちょっと、なにっ、」
「いやー。あかね 言ってたよな、高校ん時」
「なにを?」
「おれがパンツ一丁でウロウロしてたら恥じらいを持てって」
「ほんとそうよ。あの時は目のやり場に困っちゃったんだから」

途端に唇を尖らせる。
が、この恰好で言ってもそれがどれだけ説得力のないことか、こいつはまるでわかってないらしい。
だけどそれを言ってしまうとまた布団の中に潜り込んでしまうのは目に見えているので敢えて口にはせず、念のため肌掛け布団もおれの足の下に退けておくとしよう。
いっとくけど、これも全部無防備なあかねがわりーんだからな?
おれはニヤけそうになる顔を堪えながら、あたかも思い出話を懐かしんでいるだけのように続ける。


「そーいえばあかね、覚えてるか?」
「なに?」
「そのうち おれより女らしくなってみせるって宣言したやつ」
「忘れるわけないでしょ」
「あん時おれ、びっくりしたんだよなー。もしかしてあかね、おれに見て欲しーのかなって」
「そ、そんなわけないじゃないっ」
「っつーかさ、あん時 あかねに実践してもらえばよかったんだよな」
「実践って?」
「裸でウロウロするってやつ。そーすれば流石のおれも もう少し早めに対処できたっつーか」
「バカッ!そ、そんなこと出来るわけないでしょっ!」
「いやいや、百聞は一見に如かずと言ってだな」
「もうスケベっ!変態っ!」
「んなやらしー恰好で言われても全然説得力なんてねーんだけど」

そう言って、女にしては開き過ぎてる胸元から誘うように覗く谷間に指を一本突っ込む。

「ちょ、ちょっと、」
「あかね。おめー、油断し過ぎ」
「なにが」
「服着てりゃ やらしくねーなんて思ってたら大間違いなんだからな?」

今度は胸の尖りを指で押すと、びくりと跳ねる肩と同時に小さな吐息が漏れた。
なんだ これ。
まるでおれ、どっかのエロ親父みてーだな。


「っつーか、ぶかぶかのおれのタンクトップを着るあかねって なんかやらしくていーよなー」と真顔で言えば、「あ、あんたがあたしの服をあんな遠くまで放るからでしょうがっ」ともっともな反論が返ってくる。
そーなんだよな。
だってすぐベッドの下に置いとけば、気付いた時にはきちんと洋服に身を包んでいて。
それが面白くないおれとしては、極力あかねの服は部屋の隅まで投げるようにしている。
おれはおれで これでも色々考えているのだ。


そしておれは、もう一つ懐かしいことを言ってみる。


「そーいえばあん時、あかねがおれより女らしくなったら土下座でも何でもするっつったんだっけ」
「あんた、よく覚えてるわね」
「そりゃまあ、衝撃だったからな」


色々と。
その後も苦労したしな、色々と。


するとあかねが、少し言いにくそうに口を開いた。



「で、その…、」
「ん?」
「ちょ、ちょっとは女らしくなった…と、思う?」


きゅっと噛んだ下唇を、細い人差し指の関節で押さえる。
っておーい。これって計算じゃねーんだよな。だとしたら天性の小悪魔だ。
ぎゅっと二の腕で圧迫された胸。主張するようにふるりと形を変える膨らみが、タンクトップの上からでもはっきりと見てとれた。
そんな美味しい状況を目の前にして再び火が点かないと思ってるんなら、あかねはもう少しおれを理解した方がいいと思う。

「うーん、どうかなー」

わざと確認するようにジロジロ視線をやれば、恥ずかしそうに肩を揺らす仕草さえ堪らなく扇情的で。
これ以上意地を張れなくなったおれが「うん、まあ あの頃に比べりゃちょっとはマシになったんじゃねーの」なんて素直じゃない言い方をすれば、「なに その上から目線」と不満気にしながらも嬉しそうに笑うんだ。



だけど。



「んじゃ、公約通り土下座してやるよ」
「え。別にそこまでしなくていいわよ」
「つっても約束は約束だろーが」


そう。おれは約束は守る男だ。
「ちょ、ちょっと、本気なの?」なんてあかねがおれの肩を押して止めようとするけど、自分の発言の責任は自分で負わなきゃな。


おれはあかねの待っ正面に向き合ったまま、正座をする。
そして おもむろにシーツの上に両手をつくと、

「どーもすいませんでしたっ」

謝るのと同時に勢いよくズボッと頭から突っ込んだのは、あかねの着るタンクトップの中…。


「きゃあっ!ちょ、ちょっとなにっ!?」
「なにって、頭上げたらそこにあかねがいたんだからしょうがねーだろ」
「しょ、しょうがなくないっ!バカぁっ」
「あ、乳が邪魔で頭が出ねえ」
「バカバカッ!で、出てってよ!」
「うん。やっぱ成長してんだな」
「どんなチェックの仕方よっ」
「あ、でもそーやって暴れるとすげえいーかも」
「バカぁっ!」


バカはおめーだ。男の前でそんな際どい恰好しやがって。
ある意味 着てる時のほうがそそるんだからな、色々と。
例えば見えそうで見えねえ はみ出しそうな横乳とか横乳とか横乳とか。

狭い空間の中、髪の毛がぐしゃぐしゃになるのも構わずその柔らかさを堪能すれば、次第に漏れ出す吐息で湿度が一気に上昇する。


「そ、そこ、やだぁ…っ」
「やじゃねーからこうなってるんだろーが」
「バ…っ、ん、…っ、」


甘く蕩ける声色。
ダメと言う足の間に入り込めば、行き場を失くしたあかねの手がタンクトップの胸元から見え隠れするおれの髪をくしゃりと掴む。




…はい、チェックメイト。



そのまま押し倒すようにあかねの両手首をシーツに縫い付け、肩まで捲り上げたタンクトップからようやく上体を起こして身体を離す。

「さてと…さっきは布団で隠されてて あんまよく見えなかったからな」
「やだやだ、ちょっと…!」
「なんだよ、ちゃんとおれに見せるっつー約束だったろーが」
「い、意味が違うっ」
「残念。おれがそー思えばそれが正解なんだなぁ」
「…ぁっ、」



だけどな。流石にあの頃はわからなかった。
こうして触れたとこから白い肌が赤く染まり、熱を帯びてくることなんて。



「乱馬ぁ…、」



潤んだ目がおれ一人しか映さないまま、譫言のように名前を呼ばれるだけで達してしまう程の破壊力を持ってること。



「…んん…っ、も、う…っ、!」



息も絶え絶えに水音の中で喘ぐ姿はどこを切り取っても女そのもので、乱れる存在がおれを身体の芯から舞い上がらせるんだ。












「あかね、」



今度こそ、ぐったりとベッドに沈み込む髪の毛を撫でる。
いつも あかねが気持ちいいと喜ぶお決まりの儀式。
その感触に気付いたあかねが睫毛の先だけピクリと動かすと、また安心したように寝息を立てる。
さっきまでカーテン越しにぼんやりと明るかった部屋はいつの間にか薄暗くなっていて、もうすぐあかねを駅まで送っていかなきゃなんねーと思うと時計を見る気にもなれなかった。



「あのなー。ここで んな寝てたら夜寝られなくなるぞ」


とは言いつつ、疲れさせちまった張本人がおれなだけにこれ以上強くは出れねーのがつらいとこなんだけど。
っつーか、今晩の睡眠まで心配するなんて おれはあかねの父親か。
そこまで考えたところで唐突におじさんの顔が浮かび、慌てて「今のなし」と残像を追い払う。
少なくとも あかねといるベッドの中では思い出したくねーんだよな。
口直しにちらりと布団をめくれば、そこから見え隠れする二つの膨らみ。
これ以上まずいと思いつつ、いつの間にかやわやわと這っている手は己の欲に正直だった。
しっとりと手の平に吸い付くような柔らかさは、どうにもおれを魅了してやまない。


「……」


もっと早くこの肌を知ってればと思う反面、知らなくて助かったと安堵するもう一つの感情。
一度でもこの快感を知ってしまったら、とてもじゃねーけど一つ屋根の下で我慢出来る自信なんてなかった。





(結局、あの頃も今も あかねに囚われてんのはおれのほうなんだよな)





こんなこと、口が裂けても言えねーけど。

悔しいから、絶対言ってなんかやらねーけど。







「……あーあ。参った」




ボソリ呟き、細い腰に腕を回す。

きっと今日もまた後でお小言を食らう羽目になるだろう。
それでもいい。


あかねが目を覚ますまで、あともう少しだけこのままで。





< END >





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comment (8) @ Omnibus お年頃編

   
恋と呼ぶには まだ遠い  | 私信(6/11 1:57- 拍手コメントをくださった方へ) 

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2017/06/12 Mon 06:53:06
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2017/06/12 Mon 21:26:13
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2017/06/12 Mon 22:44:18
No title : reina37891 @-
ハーイ!高校生から〜のぉ〜!!大学編!!!
毎度ありがとうございます。終着点が安定して気持ちが良い!です。こうでなくちゃ乱あ〜〜!
高校の、モジモジお君からの大学の吹っ切れ具合!
あると思います!!
そらなことはさておき、今更感の私がなぜここを知ったか、、、、ストーカーだからですよ、、ふふふ、
支部時代から目をつけていました(怪)
まだこのサイトが稼働しきっていない時から嗅ぎ回っていました。支部ではみられない漏れた逸話がここでは投稿されるやもしれん!と、、
そして、恐らくファン歴はここいるファンのかたのベストスリーに入っている自信が勝手にあります!(本当に勝手に調べたわけではありません)あ、ごめんなさい、なんか、石を投げないで、


いつから知ってるなんて!私のストーカー心に火をつけたのは、kohさんですよッッ!

あ、なんか、キャラが定まらない、、キモい感じで終わります、、、、
2017/06/13 Tue 00:55:38 URL
Re: No title : koh @-
2017/06/12 Mon 06:53:06 コメント主様

こんばんは☆
お返事が遅くなってしまってごめんなさい💦。

コメント主様、ダイエットが成功していいなぁ…。
私なんてダイエットしてなくっても胸が…む、胸が……(意識が遠のく)。
…ふう、あぶないあぶない。ついお胸の話になると地下に潜ってしまうんですよね。←

また、創作ペースに関しても温かいお言葉ありがとうございます✨。
ね。周りに左右されないように…と思いつつ、なかなかそれが難しいこともありますが、出来るだけ心にさざ波を立てずのんびり穏やかに行きたいと思います(*^^*)。
コメント主様も飲み友達が出来て良かったですね~♪
どんな形にしろ、吐き出せる場所があるってありがたいことですよね。

裏も更新したいことが山盛りなのになかなか追いついていない現状ですが、またその際にはお知らせします✨。ありがとうございました。
2017/06/14 Wed 03:30:09 URL
Re: 駄々文いかがでしょうか : koh @-
2017/06/12 Mon 21:26:13 コメント主様

こんにちは。
返信不要とありましたが、これは返信せずにはいられません笑。
もう、すっごいパッション溢れるコメントを頂戴し、ありがとうございました(≧▽≦)。
EE JUMPとか懐かし過ぎです 笑。
しかもコメント主様の仰るNOの基準に軽くヘドバン状態の私…。
そうそう、そうなんですっ。
詳しくは控えますが、「あ、あれ?その前後は?」みたいなね。
もちろん、その部分をさっくり美味しくいただくのもアリ。
でも私はしつこくネチネチ派です♡←

是非是非、黒タンクのあかねちゃんを想像してやってください。
あ…なんだか鼻血ブーです……。
2017/06/14 Wed 13:59:16 URL
Re: タイトルなし : koh @-
2017/06/12 Mon 22:44:18 コメント主様

こんにちは。
信頼し合える関係になった後の雰囲気が好きと言っていただいてすごく嬉しいです(´艸`*)。
実はこの短いオムニバスは「乱馬の黒タンクを着たあかねちゃんに乱馬が頭ズボッ!」を書きたいというところから フッと広げてみたお話なんです。
最近、どうも着地点から逆走して考える傾向が…。
高校生には高校生なりの、大学生には大学生なりのお年頃的思いがあって、二人の関係性としては叶ったような状況でも、やっぱり帰宅の時間を考えなければならない「ちょっとしたどうにもならないこと」の悩みは尽きなかったり…。
実はこれ、夫婦になってからの二人でもちょっと思いついたりしているのですが、余りにも現実的過ぎて生々しかったりするのかなぁとか(^^;。
何はともあれ、世代別オムニバスが個人的に好きなのです♡
2017/06/14 Wed 14:45:02 URL
Re: No title : koh @-
reina37891さん

こんにちは。
で、出た――――ッッッ!!私の腹筋泥棒♡
というか、本当に早い段階からこちらのサイトをチェックしてくださってましたよね。
サイト立ち上げて丸々3ケ月放置していた時には私ですら「えーっと…パスワード何だったけ?」状態だったのにバビュンと飛んできてくれたreina37891さんに感謝感激です✨。
でもってキャラの方向性に迷いながらコメントを〆るこの終わりよ…(笑)。
やばい。やばいわ この人。(つまり 好き♡)
あ、いけない!乱あばっか書いてたから、ついツンデレになっちゃった☆

私はどちらかというと着地重視型なので、そりゃあモンモンとしたまま終わらせませんとも♪
寧ろモダモダした分。イチャコラさせたい。←
原作で足りない萌えは自給自足のサイトです✨。
2017/06/14 Wed 14:52:56 URL

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