Twitterの140字 乱馬×あかねSS・60編 

2017/11/19
Twitterのらんま1/2SS創作に挑戦してみるものの、なんせ文字数140字。
改行や漢字1文字の壁を感じつつ、乱馬とあかねちゃんの世界をぎゅっと詰め込んでみました。
高校生から時系列順になっており、【冬の罠】~大学生編、【パスワード】~社会人編のイメージです。
尚、こちらで使用した画像は全て自作もしくは著作権フリー画像を拝借・加工しております。
(Twitterで自作イラストを添えたものは他のお話の拍手に置いてあります)






【 動き出す日常 】

あたしの平穏な日常は突如崩壊した。
「かわいくねー」
「なんですってぇ!?」
口を開けばズケズケと、乙女心を抉ってくるのはデリカシー0の許婚。
けどね、そんなあんたが不意に見たことない顔で「笑うとかわいいよ」だなんて言ってのけるから。
ああ、やっぱりあたしの中の何かがゴトリと動き出す。


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【 当然だと思うなよ 】

「恋人が欲しい」
放課後の教室は大体この話題に終始する。
「恋人がいて何かいいことあんのか?」
「アホか貴様。彼女がいたら一緒に勉強したり出掛けたり時にはラッキースケベを拝んだり」
つっても全部あかねとしてるしなぁ。
「よく知んねーけどおれは許婚でいーや」
その後、理不尽に殴られた。


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【 かわいくねえっ 】

「乱馬」
すっと差し出された白い手。さり気なく自分の掌をズボンに擦り付け、その指先を握ろうとした時だった。
「いらないの?」
コロンと渡されたのは新発売の苺の飴。なんだよ なんだよ こんにゃろう。
そのままひったくるように口に放り込み、いつものフェンス上に逆戻り。ああクソかわいくねぇ!


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【 恋の終わり 】→【 恋の始まり 】

それはまるで映画のよう…なんて素敵なものではなく、最初は何が起きたのかわからなかった。地面に波打つ長い髪。そしてあたしは先生の胸の中で初恋を終わらせた。
さよなら、背伸びしてた自分。
フェンス上の許嫁を茜色に照らす世界は清々する程美しく、そこには40cm分の自由を手にしたあたしがいた。


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【 恋の始まり 】→【 恋の終わり 】

「一本とった」
言うや否や突き落とされたのはいつもの水路。罪の意識もふっとんだでしょと笑う口から非難めいた言葉を浴びせられる事は最後までなかった。
何だよ、もっと怒って泣いちまえばいいのに、まるでおれを励ますみたいにそんな顔で笑うから。
ああそうか。
この瞬間、おれは恋に落ちたんだ。


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【 理由 】

「ごめん、今日は先帰ってて」
「おー」
そこに大介が疑問を呈す。
「お前らって一緒に帰る約束してんの?」「別に。ただ おれ転校生だろ?道に迷ったら困るじゃねーか」
ん?何か変なこと言ったか?大介の背後にどす黒い殺気を感じる。
「貴様、今すぐ息の根を止めてやる」
「だーっ!なんでだよ!?」


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【 #110の漢方液 】

なんであんなムキになっちまったんだろう。たかが記憶、思い出せねえなら上書きすりゃいいだけじゃねーか。
だけど。
失った髪の毛みてえにあっさりおれを切り捨てるような真似は許さねえ。そこまで思って自嘲する。
なんだよ、いつの間にかこんなにおれの中にあかねがいて。
これが好きって事なのか。


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【 いつもの登校風景 】

君と僕の距離はフェンス一枚の高さ分なんて言ってどれだけの人に伝わるだろうか?
っつーか柄にもなく僕とか言っちゃったのは多分、ときめいたのを誤魔化す為。
「何よ」
「何だよ」
俺を見上げるその目には俺と空しか映らない。
うん。こんな距離も悪くねぇ。

(#君・僕・悪で文を作ると個性が出る タグより)


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【 ずるい 】

君はずるい。
「僕と交際するのだ!」
瞬間、ドーンと空に消える袴姿。
「ったくおめーはにぶいな」
あのねぇ、誰も助けてなんて頼んでないでしょう?
「…ヤキモチ妬き」
「あ?」
何よ、なんか文句ある?
こんなに期待をさせて、君はずるくて悪い人。

(#君・僕・悪で文を作ると個性が出る タグより)


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【 五七五 】

かわいくねえ ずん胴凶暴 意地っ張り
「ちょっと!」
ナルシスト お調子者の 女装癖
「おいっ」

「…えー、先生は俳句を作れと言ったんであって恋歌を作れとは言っとらんぞ。更に季語すらないので0点」
「なんでい、季語なら入ってんじゃねーか」

春夏秋冬、いつでもどこでも乱あ乱あで目が回る。


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【 笑うわけない 】→【 ありのままで 】

扉の隙間からそっと道場の中を伺うと、板敷きの真ん中で転がる体には無数の傷が出来ていた。
「…笑いたきゃ笑えよ」
不貞腐れた様にこちらを向かないまま吐いた台詞は暗に見るなと言っている。
「ばかね、笑うわけないでしょ」
ねえ、こんな姿を見れるのも嬉しいと言ったらあんたは怒る?


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【 ありのままで 】→【 笑うわけない 】

一緒に笑える奴なら沢山いるけどさ、ありのままのおれを受け止めてくれんのはただ1人。
「笑いたきゃ笑えよ」
「笑うわけないでしょ」
当然みてーな顔してベチンと背中を叩き「また救急箱用意しとくからしっかりね」なんて。
「バーカ、次は勝つに決まってんだろ」
おれが一生敵わねえのはおめーだけ。


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【 誰のものにもならないのなら 】

あんたはまるで野良猫ね。都合のいい時だけ甘えて捕まえたと思った途端に腕の中をすり抜ける。誰のものにもならないのならいっそ嫌いになれたら楽なのに。
おめーは天真爛漫な小悪魔だ。こんなに人を翻弄し、にっこり笑えば全てがチャラになる。誰のものにもならねーなら、おれが奪うしかねえだろう?


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【 恋の呪文 】

TV前を陣取りあかねが夢中で見てるのはお姫様と王子様が結ばれる王道のファンタジーだ。
「女ってこーゆーの好きだよなぁ」
何が恋の呪文だよ、んなもんあったらとっくに使ってるっつーの。
「…アブラカタブラ」
おれの事を好きになれ。
「え?油ベタベタ?」
……やっぱこいつにゃ効かねーか。ちっ。


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【 ちゃんと見てる 】

「ウサギみっけ」「おめーが作るウサギとはえれえ違いだな」「こっちはペンギンだわ」「そうそう、こーゆーのをペンギンっつーんだぞ」
こんな調子で卓上の動物クッキーはなかなか2人の口に入らない。
「見て見て、これもかわいい」「おー」「ちゃんと見て」
だからかわいい奴をしっかり見てるっての。


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【 おれの世界 】→【 あたしの世界 】

「んな顔してるとかわいくねーぞ」
窓枠に屈むおれを見上げた瞳の縁はまだ赤い。
「ほっといて」
「おれだってほっときてーけどよ、おめーが泣いてるとなんか調子出ねーんだよな」
「それって慰めてるつもり?」なんて吹き出す額にデコピン一発。
ほらな、おめーが笑うだけでおれの世界が眩しくなる。


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【 あたしの世界 】→【 おれの世界 】


「んな顔してるとかわいくねーぞ」
この不躾な台詞は窓からの侵入者だ。
「ほっといて」
「おれだってほっときてーけどよ」
何よ。
「おめーが泣いてるとなんか調子出ねーんだよな」
それは慰めてるつもりなの?
ああ、けどあたしも単純ね。乱馬の不器用な優しさだけで世界が明るくなっちゃうんだから。


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【 1-Fは今日も賑やかです 】

「乱馬の名前ってなんかやらしーよな」
「はぁ?」
「だって乱れる馬だぜ?やーらしー」
「やらしいって言うなっ」
「きゃー、乱馬君のH〜」
「正直に吐け、実は毎晩馬のように乱れて「ば、ばかっ!おれはまだあかねとそんなとこまでいってねぇっ」
「ほー、“まだ”?」

「男子達元気ねえ」
「……ばかっ」


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【 強くなるワケ 】

「またやられたの?」
「またって言うなっ」
ああかわいくねえ、こんな時くれー少しは優しくしろってんだ。
「へえ、優しくして欲しいんだ」
へ?おれ今、声に出したっけ?
そして絆創膏片手にやれやれと向き合えば。
「あたしは信じてるからね」
何だよそれ。んな事言われりゃ強くなるしかねーだろう?


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【 おれが選んだ 】

親が勝手に決めた許婚なんて所詮は言い訳に過ぎなかったんだ。
ウッちゃんが現れた時も許婚交代騒動の時も、あかねを選んだのはおれの方だろ?
「何よ、人の顔じっと見て」
「…んでもねーよ」
それに気付いて欲しいような ぜってー気付いて欲しくねーような。
こんな複雑な男心、いい加減わかれよな。


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【 たかが反転宝珠 】

「機嫌直せって」「知らない」「あれは急にシャンプーが冷たくなるか「知らない」
これ見よがしに溜息1つ。
「…さっきはあんな素直でかわいかったのによ」
何よそれ、開き直り?
「ふーん。乱馬は道具頼りに告白されて嬉しいんだ」
ばっかみたい。たかがブローチ如きに運命弄ばれてたまるもんですか。


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【 逮捕案件 】

「頼むあかね、入れさせて」
「嫌よ、昨日もだったじゃない」
「そう言わずちょっとでいーから「知らない」
「あーもうビショビショになっちまう!これ以上濡れたくねーんだって」

「あいつら公然わいせつ罪で捕まるな」
「全くだ」
そんな友人の前では1つの傘を巡って言い争う2人の姿がありましたとさ。


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【 おめーのせいじゃねえ 】→【 泣き虫だから 】

いっそ責めてくれたら楽なのに。おめーのせいじゃないと振る舞う言葉に救いと痛みが胸を襲う。
「おれが負けるとでも思ってんのか」
違う。
「ううん。乱馬は勝つわ」
だから悲劇のヒロイン気取りはお終いと、目を逸らさずあんたを送り出す。
信じて待つ事がこんなにも苦しいと、初めて知った16の秋。

※ 24巻ハーブ戦より


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【 泣き虫だから 】→【 おめーのせいじゃねえ 】

帰りたい、じゃない。
帰ってやらなくちゃ。
その思いだけがおれを突き動かしていた。
自分の為に強くなりたいと思ってた。けどそれだけじゃねえ。守る為に強くなる。極限の中で見えたのは揺るぎないただ1人の存在で。
まだおれは立てる。踏ん張った足はボロボロで、だけど負ける気なんてしなかった。


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【 理性 】

「乱馬も食べる?」
にっこり笑って差し出されたスプーンには苺のアイス。
一瞬の躊躇いの後、平常心を装って口を開ければ「やーい、引っかかった」と口元ギリギリで華麗にUターンするそれ。
いやあのさ。
怒りとか呆れより、舌の上で蕩ける白濁したアイスに理性を試されてるようにしか思えねえっつーの。


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【 好き 】

軽やかな動き。猫のようなしなやかさ。ずる賢くて、だけど意外に面倒見のいい所。グッと袖を捲ったチャイナ服はいつもお日様みたいな匂いがする。
「…好きだなぁ」
「ん?なんか言ったか?」
ううん。なんでもと誤魔化せば、変な奴と笑うその大らかな笑顔もね。
悔しいけれどやっぱり全部好きなのよ。


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【 ほくのしあわせ 】

幸せについてなんか考えたこともなかった。
失うものなど何もないと思い上がったおれが初めて失う恐怖で放心した夜。
殴られた頬の何倍も胸が痛むのは、認めたくない己の想いの強さだったのか。
一緒に帰れて嬉しいと握り返してくる細い指がこんなにも大切だなんて、おれの幸せはこの掌の中にあったんだ。


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【 不意打ち 】→【 知らねーくせに 】【 恋のチャンス 】

「笑うとかわいいよ」
何だよその顔って それはこっちの台詞よ。
「あんた何企んでるわけ」
「人聞きわりーな」
「日頃の行いが物言うのよ」
「ちぇっ」
「で何?」
「いや、実は明日の英語が…」
「だと思った」
へらりと笑うあなたは悪い人。
「肉まん奢りね」
ねえお願い、不意打ちでそんな事言わないで。


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【 知らねーくせに 】→【 不意打ち 】【 恋のチャンス 】

「笑うとかわいいよ」
うっかり零れた台詞はあかねの眉間に皺を刻んだだけだった。
“何企んでんのよ”なんて、予想外の反応に適当な口実でまた誤魔化す。
「かわいくねえ」「知ってる」
嘘つけ。おれがどんだけ好きかも知らねーくせに。
わかってんのか?おれが憎まれ口叩くのは、たった1人あかねだけ。


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【 恋のチャンス 】→【 不意打ち 】【 知らねーくせに 】

バカねぇ、あかね。あれが冗談とでも思ってるのかしら。
乱馬君も乱馬君よ、横顔に見惚れてうっかり本音を零すなんてまだまだなっちゃいないわね。なんならいっそ、不意打ちを本当にしてもいいんじゃない?
「わたしお風呂入ろっと」
いい?恋のチャンスは20分、報酬は2人のベストショットでお願いね。


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【 バストバトルの余韻 】

惜しかった。実に惜しかった。あと3秒早く移動していたら間違いなく丸見えになっていた事だろう。
とはいえズレた肩紐にカップが浮いているのもまかなか(おもむき)がある。うん、あの驚いた顔と相まって実にいい。なんたって背中のホックも外れたままっつーのが高ポイントだ。
あーくそ、また眠れねえ夜が来る。


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【 あかね色に染まる君 】

「おれ、この色好き」
そう言って見上げた空は秋の色。
「こーゆーのなんつーんだっけ。確か…」
「茜色」
「え」
「あたしも好きよ」
「な、何が?」
決まってるでしょ。茜色の光よりも真っ赤に染まる……
「内緒」
ねえ、そんな気の抜けた顔しないでよ。乱馬が言ってくれたらあたしも素直になるからね。


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【 それだけでいいの? 】

無人島へ持っていける物3つ
「水と着替えと…」
「おれだろ?で、おれがナイフと食料と火で…よし、完璧だな」
「ちょっと」
「あ?」
「なんで乱馬なのよ」
「一応許婚じゃねーか」
「関係あるの?」
「話し相手がいねーと退屈だろ?」
「ふーん、話だけでいいんだ」
「え」
「なんてね」
「…え?」


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【 ごめんね 】→【 一生言わねえ 】

逃げて。
その一心は後にこっ酷く怒られる事となる。
「頼むから無茶すんなよ」「してないもん」「してるっつーの!」
あのね、無茶したつもりなんか全くないの。気付いたら体が勝手に動いてた。本能がそうさせただけなのよ。
「心配した?」
少し自惚れた質問に、頰を引っ張る顔は当然と言っていた。

※ サフラン戦より


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【 一生言わねえ 】→【 ごめんね 】

心配した?なんて愚問だろ。返事代わりに頰を引っ張れば「痛いっ」と恨めしく睨むその目すら愛おしくて。
あかねが消えたと同時におれの世界も全ての色を失った。そう言ったらおめーはどんな顔をするだろう。
「乱馬?」
生きてる。笑ってる。
それだけでこんなにも嬉しい事、一生言ってやるもんか。


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【 許婚なら 】

「あかねはおれの許婚だ!手ェ出したらぶっ殺すぞ!」
あの台詞から早1年。
「ねえ」「あ?」「あたし達って許婚だっけ?」「何を突然…ま、まさかおめー、他の男に浮気しようってんじゃ」
あのねぇ。浮気も何もまだ付き合ってもないでしょうが。

「…許婚ならいい加減手を出しなさいよね」
ふんっ。


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【 デートなんだろ 】

2人に会ったのは偶然だった。
「休日まで一緒とは仲良いな」
「バカ。あかねが買い物してえっつーから付き合ってるだけでい」
「何よ、乱馬が勝手についてきたんでしょ」
ハイハイ、なら俺も暇だと言ってやろうか。けど命は惜しいしな。
「ご馳走様」
後ろで騒ぐ声を背に、明日の朗報を待つこんな休日。


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【 リップクリーム・R 】

女は何かと面倒で、今日もあかねは丹念にリップクリームを塗る。
「毎日ご苦労だな」「仕方ないでしょ、乾燥するんだもん」
あんたも使う?なんて差し出されたそれ。
どうせならこっちがいいと、華奢な腕ごと引き寄せ唇を奪っちまいたい衝動。
おれにそんな感情がある事、きっとあかねは知らねーだろ?


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【 リップクリーム・A 】

女は何かと面倒で、今日もあたしは丹念にリップクリームを塗り込む。
「毎日ご苦労だな」「仕方ないでしょ、乾燥するんだもん」
あんたも使う?なんて冗談めかして差し出してみたそれ。
本当はね、直接唇同士で効果を確かめて欲しいって。
あたしにこんな感情があるってこと、きっと乱馬は知らないでしょ。


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【 寒い日・R 】

「さみーなー」
「あったまる?」
「え…っ」
すっと差し出す手を握ろうとすれば「ちょうどカイロ2つ持ってたのよね」なんて予想外のもんを渡してきやがる。
「お礼は?」
「あ?」
「カイロのお礼」
知るかアホ。言っとくけどナイーブなおれの心を弄んだ罪はデカいんだからな!?
ああ心が寒いぜ…。


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【 寒い日・A 】

「さむ…っ」「あっためてやろーか?」「結構です」
まあ あかね相手じゃなーといつもの様に笑いながら、もう次の話題に移ってる。
もしもあたしが冗談にしなければ、この関係の何かが変わるの?
「どーした?」
もしもあたしが勇気を出して

「…ねえ。やっぱり寒い」

その指先に手を伸ばしたら。


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【 寒い日・R&A 】

繋いだ手は殊更に温かかった。
「あったかい…」
「おう」
ありったけの勇気で得られた自分以外の温もり。口には出さなくとも、じっとりと湿った掌の感触はまるでお互い好きと伝え合ってる様にしか思えない。
ああ、そうか。
「なに?」
そんな澄ましたフリしても、あんたも同じくらい緊張してるのね。


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【 隠しきれない 】

ずん胴ニブちんかわいくねー!
口癖の如く溢れる罵声に涙を浮かべたのはあかねだった。
「あたしだって傷付くんだからね」
わかってる。でもこうしてないと自分の想いを隠しきれなくて。
「あかね…」
名前を呼ぶだけでもうまずい。
ごめんと謝る代わりに伸ばした腕は、そのまま華奢な体を抱き寄せた。


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【 チェックメイト 】

あかねは にげるをえらんだ
どあをふさがれ にげられない
にげるをえらんだ
うでもとられて にげられない
にげるをえら
そのままだきしめられて にげられない
「ちょっと…!」
あめーなあかね。おれから逃げようなんざ百万年はえーんだよ。

らんまはあかねを にがさない
ついにあかねはかんねんした


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【 ケンカの後 】

もう知らないと勢いで飛び出した格好は冬の街で浮いていた。涙が溢れないよう目を見開いて上を見る。こんなに空は青いのに。その刹那、視界が赤に変わって埋め尽くされた。
「心配しただろ!ばかっ」
何よ、あんたのせいじゃない。
…だけど。
零れた言葉と涙は見慣れたチャイナ服の胸に吸い込まれた。


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【 隙あり 】

「隙ありっ」「汚ねぇ、反則だぞ!」「反則じゃないもん」
後ろを向く一瞬の隙に足を払えば途端に躍起な声が返ってくる。
「悔しかったらやり返してみなさいよ」「言ったな?」
刹那、視界がくるりと回転して。

「……反則よ」
「隙があんのが悪いんだろ?」
唇に触れたのは逆光に隠れたズルい笑顔。


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【 風邪っぴきの彼女 】

「なんで乱馬がここいるの?」
「さあ」
「風邪移るわよ」
「移るような事しなきゃ平気だろ」
ふーん…そういうこと言うんだ。
ならお望み通り。
「乱馬」
「あ?」
「乱ー馬」
「だから何って──」
……っ、

何よ、本当は自分も期待してたくせに。

「顔赤いわよ」

唇が移したのは多分、恋の熱。


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【 冬の罠 】

「お風呂入らなくちゃ…」「10分前も言ってたぞ」「だって動けないんだもん」
そう、今おれ達は橙色の熱を発する冬の罠にまんまと嵌って抜け出せなくなっていた。
痺れた足同士がツンとぶつかり身を捩る。その度ふにゅりと天板に押し付けられる柔らかな膨らみ。
あーまずい。いっそここで結婚しよう。


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【 ワンちゃん 】

「なんか甘い匂いする」
そう言ってあたしの髪を1束手に取る。
ねえ、当たり前の様に鼻をつけるけど自分のしてる事わかってる?
「乱馬って犬みたい」「へ?」
馴れ馴れしくてご機嫌で、するりと懐に入り込む困ったワンちゃん。
「んじゃマーキングしておくか」
「“待て”よ」
ああ、もうズルいズルい。


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【 答え 】

「まだ怒ってんの」当然。
「どーすれば機嫌直る?」知らない。
こんなにも空が赤く染まって見えるのは涙のせい?
「せっかくこんな夕焼けなのによ」
だから?
「どうしたらいいかなんて自分で考えてよ」
「…わかった」
それはあまりに一瞬で。気付いた時には茜色を遮る影があたしの顔に落ちていた。


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【 ラッキースケベは突然に 】

風は俺に味方した。ふわりと丸い尻を露わにし、慌ててあかねが手で押さえる。
「み、見た?」
「み、見たんじゃなくて見えたんでい!」
「スケべッ」
おい、勝手に見せたのはそっちじゃねーか。
「どこ行くの」
「そんな言うなら俺のも見せてやるよ」
「俺のって?」
「だからパンt」
そして俺は星になった。


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【 一人暮らしの夜 】

らしくねえことを思うのはあいつが置いてったシャンプーを使ったせいだろうか。
いつもの安物とは違う上品な香り。普段はすぐ結んでしまう髪も今日は少しだけこのままで。
「会いてえな…」
カラリと窓を開放し、素足でベランダに出る。白い月が照らしたのは、あかねの体温に飢えたおれの顔だった。


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【 パスワード 】

何やらあかねがPC前で唸っている。
「パスワード忘れちゃったぁ」
「どんくせー」
「だって適当に設定してたら分かんなくなっちゃったんだもん。そういうあんたはどうなのよ?」
「おれは昔から決まってっから」
「何?教えて」
「やだね」

言えるかよ。おれのパスがmadder31だなんて。
※madder=茜


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【 寝落ち・A 】

「またこんなとこで寝て」
疲れて帰ってきて家の暖かさについホッとしてしまったのだろう。それでもこれはちょっと見過ごせない。
「起きて、ベッドに行こ」
「ん…」
「乱馬」
「おー…」
甘えるよう腰に絡みつく腕。バカね、ベッドまで来たらもっと甘やかしてあげられるのに。
「…待ってたんだからね」


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【 寝落ち・R 】

「またこんな所で寝やがって」
炬燵で丸まるのはどうも猫だけではないらしい。曲線を描く柔らかそうな膨らみに一瞬手を伸ばしそうになり、代わりにあかねの腕を俺の首に回させる。なんたって炬燵から出た後の肌寒さったらねーからな。
「部屋行くぞ」
勿論、その後は責任持ってあっためてやるからさ。


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【 ホットミルク 】

「美容には寝る前のホットミルクが良いんだって」「へー」
そりゃ都合がいい。おれは持ち得る最高の笑顔であかねを引き寄せる。
「んじゃ飲む?」「作ってくれるの?」「おう、一週間程前から仕込んどいた」「…」「名付けてあかね専用特濃ミル――」
…さよなら甘い恋人の夜。おれは再び星になった。


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【 無精髭 】

どうやら巷で髭が流行っているらしい。
「早乙女さんは髭伸ばさないんスか?」「伸ばさねえ」「モテますよ」「もうモテてるからいーの」
鏡を覗いて…よし、剃り残しなし。お先にと挨拶し、ジムの扉に手を掛ける。
「あいつさ、意外と肌繊細だから」「…ご馳走様デス」

おれはこれからイタダキマス。


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【 あともう少しだけ 】

普段はそうでもない癖に、あたしと一夜を過ごした時の乱馬は朝にすこぶる弱い。
「起きて」「ん―…もう少し」
出た、本日2度目のもう少し。
だけど厄介ね。困る反面、それが少しだけ嬉しくもあるなんて。ほらまた腰に太い腕が絡みついている。
…3度目はないからね。だからあと少しだけこのままで。


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【 冬の攻防 】

「おめえ人の布団まで持ってくんじゃねーよ」
「だって寒いんだもん」
「おれも寒いわい」
「あんたは筋肉があるでしょ」
「あかねだって自前の肉が「何か言った?」
「別に。それより布団返さねーなら…」
「ちょ、ちょっと!?」
「あーあったけえ」
「どこ触ってんのよっ」
「やっぱ冬はいいなぁ」


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【 煙草と酒 】

「乱馬って煙草吸わないのね。格闘家だから?」
「それもあるけど」
「他に何があるのよ?」
「こーゆー事すんのに邪魔だろ」
あっと思った時には唇を奪われてる。まったく、いつの間にこんな手慣れてしまったの。
「…でもお酒くさい」
「それはいーの」
どうせ2人で酔うんだからとあんたは笑った。


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comment (14) @ (勝手に)捧げもの

   
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comment

楽しみを! : 憂すけ @-
沢山の楽しみを有難うございました!
ツイッタの文字制限の中で、kohさん。あなたの描く乱あの世界は何と生き生きと色付いている事か。あたしは、kohさんの紡ぎ出す世界も。
kohさん自身も、大好きです。
ツイッターを通して、より、その思いが深くなったと言っても過言ではありません。

真面目で手抜きが出来ないkohさん。
凝り性なkohさん。
他人の想像の更に上をヒョイッと飛び越えて見せるkohさん。
本当はすっごくすっごく優しいkohさん。(おい)

言われなくてもきっと完璧に頑張るんだろうなぁ。でも、無理はいかんよ。
何かの時には、何時でも声かけてね!
残り時間は決まってます。頑張れ、受験生の母!!私もここからお祈りしてます!!
2017/11/19 Sun 20:36:41 URL
No title : 焚き火 @-
こんばんは。Twitterではたくさんお話してもらえて楽しかったです。また、こちらでゆるゆるとお話してもらえたら嬉しいなと思いますコメントします。もしよろしければ、パス教えてください。(こういう書き方で良いのでしょうか…違っていたらコメ削除してください〜)
2017/11/19 Sun 22:20:24 URL
宝箱 : Kimmy @-
たくさんの宝石が詰まった宝箱は、キラキラと目が眩む程にどれもが美しかったです。
欲張りな私は一気に読んでしまいました。
でもきっと何度もやって来て、蓋を開けては眺めてしまうと思います。

私は【 ありのままで 】【 笑うわけない 】
、【恋の始まり】【恋の終わり】のように対になったお話が特に楽しかったです。
お互いの心の描写が時には全く違ったり、実は同じ方向を向いていたり。

自分で書いてみて気付いたのは、ついパターンが似てきてしまいがちなんですよね。
でもkohさんの作品はどれも乱あの世界観を表しつつ、実にバラエティー豊富で…
ずっと続けて読んでいても全く飽きない!
むしろ何回も読み返してしまいました。

ホントにずーっと乱あ乱あで目が回る!
あぁ幸せ…(T△T)
2017/11/19 Sun 23:11:56 URL
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2017/11/20 Mon 06:53:22
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2017/11/20 Mon 12:58:23
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2017/11/20 Mon 13:18:44
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2017/11/21 Tue 13:51:15
Re: 楽しみを! : koh @YbCInW7E
憂すけさん

こんばんは。
Twitterでは沢山構ってくださってありがとうございました✨✨
自分の限られた時間の中で何を優先させていくか考えた時、Twitterを始めた時点で「夏ごろからは難しいだろうなぁ」と想定していたので それまでは楽しもうと割り切っていたんです。
お家のことはもちろんで、仕事もあって、その上創作もしたくって。
あれもこれもと欲張った時、じゃあひとつだけお遊びを控えてみようと思ったのがTwitterでした。
だからこそ、最後にTwitterならではの140字SSをね。
こういう所がつくづく自分のやり尽くしたい性格だなぁと思います(^^;。
あ、でも場所は変わっても創作する気は衰えずなので、今後も宜しくお願いします♡
2017/11/25 Sat 17:27:43 URL
Re: No title : koh @YbCInW7E
焚き火さん

こんばんは。
ありがとうございます~♡
(ってお返事とコメ返信が逆転しちゃってごめんなさい💦💦)
日常ブログのほうでもよろしくお願いします✨
2017/11/25 Sat 17:29:08 URL
Re: 宝箱 : koh @YbCInW7E
K~コメント主様

こんばんは。
お返事が遅くなってしまってすみません💦。
そして具体的な作品の感想までいただき、ありがとうございます✨✨
私の作品の傾向かもしれませんが、ひとつの物事をそれぞれの視点から見るのが好きなんですよね。
そこに原作のネタを絡められたら更に「よしっ!」となっちゃうというか(*^^*)。
140字って制限があるようで一場面をズバッと切り取れるのでその可能性は無限大だと思います。
それを“宝箱”と素敵な言葉で表現していただき、とっても幸せです。
ありがとうございました✨✨
2017/11/25 Sat 17:32:49 URL
Re: No title : koh @YbCInW7E
り~コメント主様

ご連絡ありがとうございます✨
またまたよろしくお願いします♡
2017/11/25 Sat 17:33:39 URL
Re: ぞわっ : koh @YbCInW7E
青~コメント主様

こんばんは。
お返事が遅くなってしまってすみません。
140字という短い制限の中で創作するにあたり、真っ先に頭に浮かんだのは「乱馬とあかねである必要性」でして、後半の大学生編や社会人編はともかく、それまでの高校生編までは“この二人だからこそ”を考えて詰め込みました。
だからこそ、小さな詩の世界を覗くように140字からその世界を頭の中で広げていただけたら嬉しいなぁと。
時間がなくてもPCを触れなくても、こうして頭の中で二人が動いている時間はとても楽しいです。
2017/11/25 Sat 17:37:30 URL
Re: 楽しかったです(*^▽^*) : koh @YbCInW7E
m~コメント主様

こんばんは。
お返事が遅くなってしまってすみません。
各お話の細かい感想までいただき、感激です。
一見ザザザーっと読めてしまうようですが、その中で私も【恋の終り・恋の始まり】や【恋の呪文】、【逮捕案件】などは印象強くって。
特に原作を絡められると自分的に「よしっ!」と思えるんですよね。完全なる自己満足ではありますが(笑)。
考えようと思うと私はピタッと思考が止まるタイプなので、こうして60個の世界がふわりふわりと心に着地してきた時にポチポチ打っては密かに楽しんで……そのお遊びをこうして一緒に共有し、楽しんでいただけていることがとても嬉しいなぁと感じる今日この頃です♡
2017/11/25 Sat 17:42:57 URL
Re: タイトルなし : koh @YbCInW7E
お~コメント主様

こんばんは。
この度は申請ありがとうございました✨
(お返事とコメント返信が逆転しちゃってすみません)
日常ブログのほうものんびり楽しんでいただけると幸いです(*^^*)。

140字も気付くと下書きがたんまりと……(^^;。
その時その時ふっと降りてくるのが面白くて、気が付いたらなかなかの数になっていました。
こちらも楽しんでいただけたら嬉しいです////。
2017/11/25 Sat 17:48:07 URL

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