先生にだって秘密はある ①秘密のはじまり 

2018/04/20
昨日の拍手でご案内した通り、乱馬とあかねの○○物語(お試し版)です。
原作の延長戦上として許婚設定などはすべて引き継いでいますが、パラレル感半端ない代物となっております。
難しいことはさておき、二人の秘密をにやにや覗き見してみたいという方のみ、お楽しみください。



先生にだって秘密はある

先生にだって秘密はあるe01




「うー……どうすっかなぁ」
 くるくると指の間を回転しながら、何度も行き来するシャーペン。残念ながら、さっきからそのペン先は本来の役割を果たすことなく、目の前のプリント用紙にはただ「二年F組 早乙女乱馬」とだけ書かれている。
 ベージュのカーテンが穏やかな波のように揺れる教室。左右半分ずつ解放した窓の向こうには舞い上がる塵屑ですら輝いて見えるような青空が広がり、校庭からは下級生達の掛け声が聞こえてきた。ふと乱馬が顔を上げてそちらを見る。
(いいなぁ。一年生は)
 時折聞こえてくる金属音は、おそらくソフトボールのバットだろう。白い球を打ちぬく度、わぁっと歓声が上がって、二階の教室中ほどにいる乱馬の耳まで届いてきた。
(やっぱこんないい天気の日は外で身体を動かすに限るよなぁ)
 ましてや、ついさっき昼飯を食べたばかりだ。気を抜くと瞼の上がやたらと重くなり、ただでさえ集中力の続かない乱馬にとっては拷問のような時間がのっそりたゆたっている。
(大体、なんだよこれ)
 パシンとペンの先で叩いたのは、一向に埋められることのない、名前以外空白の用紙だ。そのタイトルには『第ニ回 進路希望回答書』とプリントされている。
 そう。先程から乱馬を苦しめていたのは、進路という二文字だった。
 とはいえ、たかが学校のアンケートだ。そこに書いたからといって何も絶対そうなる必要はないし、その前になれない可能性だって大いにある。そもそも、今までだって行き当たりばったりで生きてきた乱馬のこと。こんな紙切れ一枚に自分が縛られるとは思ってもいないし、そんなつもりもさらさらない。ならばなぜ、ここまで頭を悩ませてしまうのか。
 それは他でもない、あかねのことだった。

 実は一年生の後期にもこういったアンケートはあった。
 なんせ、乱馬はともかく、風林館高校といえば昔からそこそこの進学校なのだ。それが何の因果であんな変態校長が仕切っているかは謎のままだが、世の中には反面教師という言葉があるくらいで。悪い総合見本のような大人を前に、「ああはなっちゃいけない」。そう気を引き締め、先輩達は己を厳しく律したのだろう。
 というわけで、こんなふざけた高校でも一応、将来の進路指導に関しては他の学校同様に力を入れている。そこで一年の頃に何気なく乱馬が記入した「無差別格闘で食っていく」の一文。それにまさか親まで同席し、その具体案を示す羽目になるとは思いもよらなかったのだ。いや、それだけならまだ許せる。極めつけは面談の最後で、切り札よろしく「いずれはあかね君と結婚して道場を」の父親の戯言に、すかさず乱馬が玄馬の頭上から水をぶっかけたのは言うまでもなかった。
 それにしても──
 ちらりと左隣の席に視線をやる。無論、そこに座っているのはあかねだ。午後の日差しを浴びた輪郭が透き通るようにキラキラして今日もかわいい……じゃなくて、どんな時でも真面目に取り組むあかねのこと。そのペン先は時々止まったりくるくる悩んだりしているものの、確実にプリント用紙の余白を埋めていく。
「なあ、あかね」
「なによ」
「おめー、なんて書いた?」
「内緒」
「なんだよ、ケチくせ―な」
「ケチは関係ないじゃない。大体、そんなに言うならあんたが先に教えなさいよ」
「おれ? おれは……」
「ふん。どうせあんたのことだから、まだ何も考えてないんでしょ」
 図星だった。だが、考えてもみて欲しい。あかねと出会うまでその人生の殆どを修行と称して各地を転々と回り、学校に通うことすら儘ならなかった幼少期。それでも生きていく上での知恵として自然と理科、社会は身に付いていたし、国語と算数に関してはドリルを与えられてなんとか恥をかかなくていいレベルくらいは維持しているつもりだ。…………一応。
 しかしながら、将来の進路。その言葉のインパクトは重い。
 これがまだ将来の夢とかならば、無邪気に格闘で食っていくなんて答えられたかもしれない。が、進む道の具体的な遣り方。そうなるとたちどころに思考が停止し、ただ漠然と「強くなってゆくゆくは道場を継ぐ」と宣言することがやけに子どもっぽく思えた。
 窓の外を覗くふりして、もう一度あかねの顔を横から眺める。出会ってもうすぐ一年。白い桃のような頬はふっくらと変わらず、それでも一年の頃に比べれば少しだけ大人っぽさが増しただろうか。
(そーいえば去年、こいつも校庭でソフトボールしてたっけ)
 友人同士と楽し気に汗を流すあかね。少しも気取ることなくへそを見せながらボールをキャッチしたその満足そうな笑顔に、不覚にも見惚れてしまったのがつい先日のことのようだ。
 もともと童顔なあかねのこと。美人というよりはどちらかというとかわいいタイプだが、それでも時々、ドキッと色気を感じることがある。それは計算尽くの押しつけがましいものではなく、たとえば髪を耳に掛ける仕草だったり、シャーペンの上で唇をふにっと突いてみる仕草だったり。
 これが意図的ならまだいい。が、無意識でこのかわいさだ。これがいよいよ自分の女らしさに気付いた日には、どんな大輪の花を咲かせるか、乱馬としては気が気でならなかった。だからこそ、自分もあかねの隣にふさわしい男でありたい。
 乱馬の進路イコールあかねの隣。
 こんなにも答えは単純明快にはじき出されるのに、一方で具体的にどうしていいのかがわからない。それが早乙女乱馬なのだ。
 しかし、乱馬には他の人にない特技があった。正確には特技と言っていいのか迷うところだが、その表現がはたして適正かどうかはこの際置いておこう。なにはともあれ、他人に対して自分の感情を抑えるといったことを知らない男。とりわけ、あかねに対しては図々しいぐらい横柄に振る舞うことを常としているわけで。
「いいから見せてみろよ……っと」
「あっ、こら!」
 ひょいっと手を伸ばし、あかねの手元から奪ったプリント。
 第一希望から順に枠が並ぶそれは左に業種を、右の欄には具体的な注釈とあかねなりの考えが記されている。
「……ほー」
「な、なによ」
「おめー、高校教師になりてえの?」
「い、いいでしょっ、別に」
「誰も悪いなんて言ってねーじゃねえか」
 頭上高く用紙を掲げ、にやにやとおちょくる乱馬。ひったくるように用紙を奪い返すあかね。その顔は決まり悪そうにギロリと乱馬を睨み付けている。
 いや、それにしてもまさか、高校教師とは。
 乱馬としては半分納得、半分意表を突かれた。本当はここであかねが「高校卒業後は進学せず実家の道場を継ぐ」とでも書いていてくれたら、自分もそれにあわせて安直に書き進められていたかもしれない。しかし、そこに記されていたのは、まぎれもなく高校教師の文字で。流石あかねだ。乱馬の何倍も真面目に将来を考えている。
(しかし、高校教師って具体的にどうやったらなれるんだっけ。確か、教育実習なるものをして教職員免許が必要になるんだよな……ってことは、やっぱり高校を卒業したら大学に進学するってことか)
 持ち得る限りの知識を総動員し、無事大学に進学したあかねの将来を想像してみる。

 満開の桜が咲き誇る中、真新しいスーツに身を包んで嬉しそうに写真におさまるあかね。なるほど、桜色のツーセットが今より少しだけ成長したあかねによく似合っている。その隣では涙ぐんだおじさんがあかねの母ちゃんの写真に語りかけ、それを困ったように笑いながら宥めるあかねの目もまた赤く滲んでいた。
 それにしたって仲の良い親子だよな。もしもおれの親父だったらあんな風に泣いてくれるだろうか? いや、それはない。断じてない。寧ろそんなことがあった日には何か裏があると考えた方がいいだろう。頭の上に浮かんだ涙ぐむパンダ。それをパッパッと手で散らすと、先ほどの続きを想像してみる。
 さて、学校の看板の前で記念撮影を行ったら、いよいよ門をくぐって新たなキャンパスライフの始まりだ──と思いきや、校内に一歩足を踏み入れた瞬間、どこからともなくバッファローの大群のような地響きが聞こえてくる。
「そこのかわいい彼女! ぜひ我々と一緒にテニスで汗をかかないかいっ!?」
「ラグビー部野郎一同、マネージャー募集中! 一緒に花園を目指そう!」
「ア、アニメ……アニメに興味はありませんか? あ、なんだったらキャラモデルでも……」
 新たな……キャンパスライフ……の…………。

(だ──っ! これじゃあ、おれが転校してくる前に逆戻りじゃねえか!)
 まったく、油断も隙も無い。大体、制服がないからといってそのひらひらしたスカートはどうなんだ。自分が傍にいない場ではスカート禁止、なんなら歩ける毛布で通学するくらいが、他の女子生徒達に対するハンデとしてはちょうどいいだろう。それともいっそ、通信という手も……っていやいや、ちょっと待て。今、自分は何を考えた? 自分が傍にいない場では……だと?
 乱馬が己を鍛えるため転々としている間中、ずっとあかねにスカート禁止令を出すというのか。それはあまりにも無理があるだろう。大体その前に、たとえスカートを履いていなくとも、仮に歩ける毛布で通学したとして、全ての野郎を駆除できるわけではない。それどころか、隠された毛布の下の秘密を暴くべく、更に強硬な手段に出る変わり者だっているかもしれないのだ。
 ならばどうする。
 答えは一つ、自分も同じ道を進むだけ。許婚の件だって、なにも道場主だけを生業にするとは一言も言っていない。ましてや、この先何が起こるかわからない以上、少しでも人生の選択肢を広げておくのは賢明な判断だろう。これはあかねと一緒にいたいからではなく、あくまで自分のため。そう自身に言い聞かせれば、たちまちそれは昔からの夢のように思えてくるから単純なものだった。さあ、そうとなったら早速自分の進路用紙にも記入して……と。
 念のため、もう一度あかねの用紙を覗き込む。既に見られてしまったせいなのか、今度はあかねも隠そうとはしなかった。が、そこで先ほどは気が付かなかった、衝撃の文字が飛び込んでくる。
「お、おいっ!? なんだよ、これはっ」
「いちいちうるわいさねえ。だから高校教師だってば」
「そうじゃねーよっ! 問題はその次っ、希望教科ってとこだ!」
「なによ、そんなに驚くようなこと?」
「あ、あ、あたりめーだろうがっ!」
 そう。なんとそこには希望教科、家庭科の文字。これは乱馬でなくとも驚くのは無理もない。
「おめーなぁ、家庭科の意味わかってんのか!? 家庭の科だぞ!? 殺人飯やら動物あてっこクイズじゃねーんだぞ!?」
「失礼ねっ。そのくらい、あたしだってわかってるわよっ!」
「いーや、わかってねえ。断言しとくが、おめーが裁縫教えた日にゃ両手の指が針で穴だらけの流血騒ぎになんのは目に見えてるっつーの」
「ひどいっ」
「ましてや、調理実習なんてしてみろ。学校始まって以来の集団食中毒で新聞の紙面を飾るのはおろか、未来ある若者の将来を──」
「そこまで言うかっ!」
 バコンと机の天板にめり込む乱馬の頭。
「こ、これのどこが、家庭……的…、だ……」
「あんたが余計なことばっかり言うのが悪いんでしょうがっ」
 哀れ、乱馬。ピクピクと震える右手であかねのほうを指差すも、反省する素振りは見られない。
「なによ、別にあたしだって絶対になれるとは思ってないもん。ただ、ちょっと希望を書いてみただけじゃない」
「希望ねえ」
「そう。いつかはかすみお姉ちゃんや、のどかおば様みたいに家庭的で素敵な女性になれたらいいなって」
「その前に凶暴なとこを治した方がいいんじゃねえか?」
「そりゃ確かにお裁縫やお料理はちょっぴり苦手だけど」
「ちょっぴり、だぁ?」
「けどどんなことだって、努力次第でこんなに変われるんだってところを見せて生徒達に夢と希望を与えられたら」
「夢と希望を与えるどころか、残酷な現実を突きつけるだけだろうけどな」
「あんたって人は!」
 もういいっ! とプリプリ頭から湯気を立てるあかね。なんだかんだで乱馬の意見を聞き、欲しい反応そのままに返してくるのだから、乱馬としてはつい要らぬことばかり口にしてしまう。
「それにね、家庭科だけじゃなくて、実はもうひとつ候補があるの」
「もうひとつの候補?」
「そう、英語の先生。これなら現実的だと思わない?」
 なるほど、英語の先生か。確かにそれならあかねの得意な科目を生かせるし、何より生徒達の身の保障も確保される。乱馬はホッと胸を撫で下ろし、教壇に立つあかねの姿を想像してみた。

『天道せんせーい』
『なあに?』
『先生、数字の六を英語で六回言ってみて』
『数字の六? いいわよ、えーっと、シックス、シックス、シックス、シックス……』
『先生、いま○ックスって何回言った?』
『シェックス』
 
 っか──! 冗談じゃねえっ!
 英語は危険だ。デンジャラスだ。なんせ、無邪気さと本気のさじ加減がわからねえ。ましてや気真面目なあかねのことだ。まんまと乗せられることは想像に難くない。そう思う一方で、もしも自分が生徒ならば六を九回言わせた後に続けて発音してもらうのも悪くないなどと不埒な妄想をしてしまったのはここだけの秘密である。

「……ちょっと、大丈夫?」
「へ?」
「なんかすっごくだらしない顔してるけど」
「だ……っ!? き、気のせいだろ。それより、英語教師ってなんか倍率厳しそうじゃねーか?」
「そうかしら」
「今は海外生活が長くてネイティブな奴も多いしなぁ」
 もちろん、これは口から出任せだ。が、自分の将来を乱馬が真剣に案じてくれていることに、あかねも悪い気はしなかった。
「じゃあ……国語の教師とかどうかしら」
「国語か……」
 ふむ……と再び妄想の世界に旅立つ。高校の国語といったらいわゆる現代文から古典、更には細かく漢文などと振り分けられるのだろうが、何はともあれ国語といったら漢字がつきもので。

『天道先生。この漢字が読めません』
『どれどれ? ああ、これは“いんび”って読むのよ』
『じゃあ、その後のこれは?』
『それは“あえぎ”ね。続けて読むと“淫靡な喘ぎ”。どう? わかった?』
『先生っ! お、おれ、薔薇は書けても“いんこう”が書けなくて』
『いんこう? いんこうなら咽喉で──』
『いえ、そっちじゃなくって男女のですっ!』

 どあほっ! ぬわぁにが男女の淫行だっ、ふざけとんのかっ!?
 挙げ句の果てには添削を口実に、漢字を多用した恋文なるものがあかねの元に届くのも時間の問題と言えよう。

「だ──っ! ダメだダメだっ! おめーみてえな色気のねえ女、国語はやめておけっ!」
「ちょっと! 色気は関係ないでしょうがっ」
 
 じゃあ社会……
 ダメだダメだ、なにが連なるアルプス山脈とあかね先生の双山だっ。そんなの、おれだってまだ未踏峰の頂を制していないというのに高校生のガキなんざ百万年早いっ!
 
 じゃあ理科……
 だから何度ダメだと言ったらわかるんだっ! 理科っつったらあれだろ!? 加速と重量の関係イコールあかね先生がジャンプする度に揺れる胸の速度と振動とか、テコやら振り子やらがぶらんぶらんしてコンコンするんだろ!? そんなの言語道断でいっ!
 
 どこまでも乱馬の妄想は常識の概念を飛び越え突き進んでいく。しかし、それも仕方がなかった。なぜなら彼はまだ十七歳にもならない思春期真っ只中なのだから。更に念のため断っておくが、二人はまだお付き合いの関係には至らず、自称親が決めただけの許婚に過ぎない。
 と、そこであかねが乱馬の用紙を覗き込み、反論する。
「さっきからあたしのダメ出しばっかりして、そういうあんたはどうなのよ」
「へ? おれ?」
「そう。たとえば、もしもよ? もしもその年だけ何かの間違いで教員採用テストの質がとっても低……ううん、緩やかで、おまけに空前絶後の人材不足と試験の山も当たったりして、うっかり乱馬が教員免許を取れちゃった場合」
「おい。おれだけやけに注釈が多いじゃねーか」
「そう? これでも相当オマケしたつもりだけど」
「なんだとっ!?」
「とにかく。もしも奇跡的にあんたが高校教師になれたとして、一体なんの教科を教える気よ」
「そりゃ体育だろ」
「体育だな」
「体育しかないじゃない」
「もはや愚問ね」
 すかさずひろしや大介、ゆかにさゆりのツッコミが炸裂するが、気持ちはわかる。なにより、そこできっぱりと否定できないところが全てを物語っていた。ぐぬぬと唇を噛み、乱馬が負け惜しみで吠える。
「へっ。言っとくけどなぁ、おれはそんなつまんねー枠にとらわれねえ男なんでい!」
「まったく。口だけは達者なんだから」
「やかましいっ。いいか、今に見てろよ!? いつかあかねをぎゃふんと言わせてみせるからなっ」
「はいはい」
「覚えとけよ!?」
「わかったってば」
 
 まさか、このやり取りが未来の自分達を大きく左右することになろうとは。
 もちろん、そんなことを当時の乱馬とあかねが知る由もなかった。
 
 
 
 そして七年の歳月が流れた四月──
 始業式の壇上では、やや頭髪の寂しくなった教頭がマイクの前に立っている。 
「えー。それでは続きまして、今日から本校の体育を教えていただく教諭を紹介します。それでは早乙女先生、前へ」
「……はあっ!?」
「はじめまして。ただ今ご紹介に与りました、早乙女乱馬です。四年間の大学生活を終えた後、約一年間の自分探しの旅を終え、こうして皆さんの前に立てることをとても嬉しく思います。これから宜しくお願いします」
 そう言ってしっかりと頭を下げるのは、つい昨日の晩までメールをやり取りしていた許婚の見慣れぬスーツ姿で。 
 
『ねえ、いい加減あんたの赴任する高校教えてよ』
『やだね。言ったら楽しみがなくなるもん」
『なにそれ。ってことはあたしの知ってる高校?』
『さーな』
『いいから素直に白状しなさい』
『おっといけねえ、携帯の充電がもう切れる』
『嘘つき!』
 
 ……そう。乱馬は嘘つきなのだ。ことあかねに対しては、高校一年の時からずっと嘘ばかりをついていて。
 そんな二人も無事同じ大学への入学と卒業を果たし、あかねは念願の高校教師へ。乱馬はその後一年間にわたって自分探しという名の体質改善の旅に出た。
 年明けに乱馬が帰国するまでの間、乱馬はあかねの新生活を、あかねは乱馬の身を案じなかった日はない。それでも互いに信じ合ってこられたのは、大学に進学するとともに少しずつ意地っ張りの殻を脱ぎ捨て、二人の長い春を実らせたからだった。
 壇上の中央で挨拶を終えた後、脇に並ぶ教師の列に乱馬も加わる。その隣で顔は真っ直ぐ正面を向いたまま、肘で乱馬の脇を小突くのは他でもないあかねだ。
 
「あ、あ、あんた、どうしてうちの学校に……っ!?」
「言ったろ? いつかあかねをぎゃふんと言わせてみせるって」
「ぎゃふんっ」
 
 そんな早乙女先生と天道先生が、何を教えてどんな学校生活を送るのか。
 それはまた、次の機会のお楽しみ。
 
 
 
 < To Be Continued >



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comment (6) @ 社会人パラレル 先生にだって秘密はある

   
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comment

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2018/04/20 Fri 01:08:09
(*≧∀≦*) : ようこ @-
このシリーズ好きかも〜です(*≧∀≦*)
乱馬くんの体育教師似合いそう(*´꒳`*)あかねちゃんの担当教科が気になります(*゚▽゚*)
続きが読みたいです〜(*≧∀≦*)
2018/04/20 Fri 07:34:09 URL
管理人のみ閲覧できます : @
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/04/20 Fri 09:36:59
Re: 学校シチュ!! : koh @-
k~コメント主様

わーい、学校シチュ、ありですかね??
私も超絶パラレルお隣シリーズを書いておきながら、基本パラレルやモブの出てくるお話って偏食気味なんです……なんて言おうと思ったら、「お前、大学生編やら社会人編やら既に原作以上の年齢&パラレル&先輩・真之介・ぴーすけのモブ祭りやんけっ!」と自分で盛大にツッコんじゃいました。
ただ、お隣シリーズ→原作と違えど許婚の関係あり、これ以上モブは登場させない
大学生編・社会人編→年齢や学校、職業パラレルしている代わりに原作の設定を引き継ぐ
など、自分の偏食内におさまるようにしているつもりなので、パラレル偏食気味な方に「いいっ!」と言っていただけるとすごく嬉しいです。
(とはいえ、他の巧みなパラレルなど拝見すると、ドキドキ素敵だなぁって思うんですよね……////)
しっかりとした文章の形になっているわけではありませんが、こんな感じでポンポンと読切りが十五話連なっていきますので、あともう少しだけお試し版にお付き合いください(´艸`*)♡
2018/04/21 Sat 00:20:37 URL
Re: (*≧∀≦*) : koh @-
ようこさん

コメントありがとうございます♡
このブログで書いている社会人編ももちろん楽しいのですが(あちらはあちらでゴールまでちょっとずつネタを詰めています)、格闘で食っていくとなると物語上制限が多かったり、著しくリアリティに欠けてしまう部分もあったりで。その点、もう少しだけ身近な職業で大人になった二人を楽しめたらなぁという社会人編パラレルです。
あ、そんなこと言いながら、こちらもリアリティさに欠けることだけは断言できます(´▽`;)。でも書いていてお気楽で楽しいのです……♡
取りあえず三話までお試し版として公開してみつつ、パラレルでもあまり違和感なく受け入れていただけるようだったらシリーズ化してもいいかなぁと思ったり。逆にパラレルは苦手な方もいらっしゃる筈なので、その場合はイベントの本にしてもいいなぁとあれこれ検討中です。(こちらは既にオチとからくりまで考えてあるんですよ~)
2018/04/21 Sat 00:21:05 URL
Re: きっと私はまた虜になる予感(*^▽^*) : koh @-
m~コメント主様

わーい、ありがとうございます////
私自身、あまりにパラレル過ぎるのは知恵が及ばないため、原作からあれこれすっ飛ばしつつ、だけどこんな未来があってもいいかなぁという妄想です^^。
あ、でも確かに一話目はまだ高校生色が強いですよね。二話目から、だ、大丈夫かしら……💦💦
格闘の世界の社会人編も書いていてすごーく楽しいのですが、なまじ私が格闘好きなだけに現実面だったり、あとは簡単にイチャコラしている場合でもないっていうジレンマもあったりだったので、こちらではもう少しだけ身近なシチュで。とはいえ、あちらの社会人編も乱馬君の隠された計画に向けてちょっとずつプロットのプロットみたいなのはあったりするんですけどね……一体いつまで書く気なんだよ~!とセルフ突っ込みしています(^^;。
この先生シリーズ、悩みどころは文字数なんですよね……。一冊にしようと思うと辞書みたいに厚くなってしまうし、かといって複数に分けると伏線の回収が難しく……。
2018/04/21 Sat 00:28:19 URL

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