先生にだって秘密はある ④嘘つきマドンナ 

2018/04/26
先生シリーズに、あたたかいコメントありがとうございます。
こうなったら不定期シリーズにしてしまおう! ということで、こちらはブログで投稿することにいたしました。
これで心置きなくお話の数も増やせます。これぞ、kohもおだてりゃ木に登る。
やや蛇足ではありますが、こちらは【③赤いたぬきと黒いきつね】の対っぽいお話です。


先生にだって秘密はあるe04




 高校生ってのはとにかく素直だ。
 いや。素直なだけならまだかわいい。問題は、素直プラスαとして下世話な話題が上乗せされてくることで。中学生ほど初心ではなく、それでいて大学生ほど分別もない。ただひたすらに性的好奇心のアンテナを張り巡らせた生徒達は、今日も一人のおさげ男を不快にさせる。
(また来てやがる)
 それは昼休みのことだった。いつものように職員室で早めの昼食を終えた乱馬は、絆創膏を貰うという名目で保健室の明かり窓から中を覗き、独り溜め息を漏らした。
 中には空いたままのベッドが二台と、隣に治療用の細い合皮のソファに丸椅子。その向かいにはあかねの机があり、今日もそれを取り囲むように生徒達が三人姿勢を崩している。
「先生、今日もかわいいね」
「どうもありがと。そんなことより、せっかくのお昼休みなんだからこんなとこにいないで遊んできなさいよ」
 手元の書類から顔を上げず、あかねが軽くあしらう。なるほど、こんなやり取りももう慣れっこってことか。
 これってあれだよな。よくドラマとかである学園のマドンナってやつ。言っておくが、そいつの正体知ったらあまりの料理音痴と凶暴さに目を剥くことになるぜ。「けっ」と腹の中で牽制をかけつつ、簡単に男子生徒を招き入れてしまうあかねに対しても苛立ちが募る。
(なんだよ、あかねのやつ。おれにはいつも隙があるなんて言うくせに)
 実際、自分ときたらどうだ。こんな簡単に野郎どもに囲まれて、これじゃあまるで羊の縄張りに狼がウロウロ野放しにされているようなものじゃねえか。
 ギリギリと苦虫を噛み潰した表情で、思わずチッと舌打ちする。
 外の水道と校舎の隙間に体を隠し、中の会話を伺う乱馬は傍から見たら怪しい以外の何ものでもなかった──が、幸いそれを見ている者は誰もいない。べったりと扉にはりつき、音を立てないよう、耳を澄ませる。一方、そんなことなど知る由もない男子生徒は、机に頬杖をつきながら尚も調子付く。
「ねえねえ。天道先生って彼氏とかいんの?」
(なにぃ!?)
 彼氏……彼氏ってあれだよな、つまりその、おれのこと。
 そっか。世間的にみりゃ、おれ達って許婚っつーより恋人同士なわけで、つまり彼氏彼女の関係なわけだよな。
 こんな時、あかねはどうやって自分のことを説明するのだろう。
 流石に自分の名前は言わないにしても、同業者だとか言うのかな。それとも昔みたいに“親が決めた許婚”なんて懐かしいことを言うつもりだろうか。
 ドキドキと、柄にもなく乱馬の鼓動が速くなる──が、そこで返ってきたのは予想だにしない回答だった。
「だから何度も言ってるでしょ。彼氏なんかいません」
「えー。とかいって先生、嘘ばっか」
「嘘じゃないってば」
 いやいや、思いっきり嘘ついてんじゃねーかっ!
 思わず叫びそうになり、慌てて口を塞ぐ。
(なんでいなんでい、一瞬でも緊張しちまったおれのときめきを返しやがれっ!)
 ぶつけどころのない苛立ちとはこういうことか。そりゃ、確かに相手は生徒で、ましてやここは学校だ。教師である立場上、素直に答えられない事情も充分理解しているつもりではある。が、それをすんなり受け入れられるほど器の大きくない乱馬としては、なんとも面白くないわけで。おそらくここにいても乱馬の喜ぶような会話を聞くことはないだろう。ならば一刻も早くこの場を離れるべきだ。それをわかっているのに、肝心の足が動こうとしない。一方、保健室の中では尚もしつこく生徒達が食い下がる。
「じゃあさ、先生最後に恋人がいたのっていつ?」
「内緒」
「いーじゃん。教えてよ」
「内緒。ノーコメントです」
「なんで? 別に減るもんじゃないし、ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃん」
「あのねえ。あたしのことなんか知ってもしょうがないでしょう?」
 やれやれと呆れたようにあかねが顔を上げて苦笑いを浮かべる。あーほら、そんな情けを掛けるから。大人の事情と空気を読まないガキ共が、また あかね目掛けてやんややんやと好き勝手なことを言い始めるのだ。
「なら先生、ファーストキスは? 高校? 大学?」
「どうかな。想像にお任せするわ」
(あかねのファーストキスは高一! ……っておれもホントは記憶にねーけど)
「じゃあ好きな人! 好きな人っていんの?」
「好きな人なら、そりゃ沢山いるわよ」
「そういう意味じゃなくってさー」
(ぬわぁにが沢山だ。ベッドの中ではおれの名前ばっか呼ぶくせに)
「ちなみに先生、今まで何人と付き合った? お願い、正直に答えて!」
「さあ? テストで全科目満点取れたら教えてあげるわ」
(ひとりひとりひとり! 後にも先にもあかねが付き合うのはおれ一人だけだっつーの!)
「あ、わかった! もしかして先生、実は付き合ったことないとか?」
「はいはい。そうかもしれないわね」
(だ──っ! んなわけあるかっ)
 早押しクイズよろしく、律儀に合の手を入れる乱馬。
 どーだ、おれのほうがお前らよりずっと天道先生のことを知ってるんだからな!? たとえ薄い扉にべったり張り付いていようとも、あかねの全てを知っているのは自分一人なのだと己を鼓舞して勝ち誇る。と、そこに一人の命知らずが現れた。
「なら先生、俺と付き合っちゃおうよ!」
一体どこまで本気なのかわからない圧で、さらりと爆弾発言をぶちかます。そこに周りの男共も乗っかり、保健室は下世話な溜まり場と化していた。
「俺、先生と付き合えたら絶対尽くす自信あるよ」
「うわっ。生徒と先生、秘密の関係じゃん。やーらしー」
「っていうか、今は年下と付き合うのが流行ってるらしいぜ」
「あ、じゃあちょうどいいじゃん。ねえ先生、聞いてる?」
「そうね、三十年後も独り身だったら考えさせてちょうだい」
「先生、ノリわりー!」
「こんなのにノリも何もないでしょ。それより先生はお仕事で忙しいから帰った帰った」
 これ以上噛み合わない会話はする気がないという意思表示だろうか。トンと書類の底を机でならし、白衣を翻してあかねが席を立つ。それもやはりいつものことらしく、「あー、先生……俺、なんか頭が痛くって……」なんて一人の生徒が大袈裟に額を抱えて甘えた声を出すも、取り付く島もない。
「五時間目が終わっても頭が痛かったら熱を測りに来なさい。じゃあね」
 ちぇーっとつまらなさそうな声とヘラヘラ笑う声が混在した三人組が、半ば強引に保健室から廊下へと追いやられる。その後を無言でついていくのは、開きっ放しになった廊下の窓から難なく校舎内に滑り込んだ乱馬の姿だった。無論、足元は外履きのままだったが、そんなことはどうでもいい。
 こいつらが何年何組の害虫なのか、この会話を知ってしまったからには突きとめてやろうじゃないか。まさに早乙女先生の大人気ないスイッチが作動してしまった瞬間である。
 そんなことなど露知らない三人組──その中で最も背が高くリーダー格の生徒が溜め息を漏らすようにうっとりと呟く。
「それにしても天道先生、今日もかわいかったよなぁ」
 それに相槌を打つのは、ややぽっちゃりとした左隣の取り巻きだ。
「お前、ほんと天道先生好きだよなぁ」
 すると当然だと言わんばかりに熱く語り出す。
「そりゃそうだろ。っていうか、うちのクラスの女子見てみろよ。先生に比べたらみんな月とスッポン、同じ女と思えねえ。あいつら見てるくらいなら一分一秒でも先生と同じ空気吸ってた方が癒されんだろ」
 随分な言い草だ。そういうお前だって大したことねえじゃねーかと内心毒づき、尚も乱馬は黙って会話に集中する。すると、この三人の中で一番軽薄そうな生徒がヘラヘラ厭らしい笑みを浮かべた。正確には後ろにいる乱馬からはその表情まで伺えないのだが、きっと厭らしい顔をしているに違いない。なんならだらしなく口の端を緩ませ、鼻の穴だってふがふがさせて不細工な表情しているに決まっている。ふんっと対抗意識を燃やし、心の中でこいつら三人に腹下しの呪いを掛けた時だった。
「なあ。ぶっちゃけ、天道先生って処女じゃねえの?」
 とんでもないことを言いやがる。それが真っ先に浮かんだ感情だった。
 あかねが処女認定されることもそうだし、あかねでそういう想像をされることもそうだし、ましてや生徒の立場で教師をそんな目で見るガキがいるとは。思わずむせかえりそうになりながら、ジャージの袖で咳払いを逃がす。するとすぐさま嬉しそうな声で返したのは、やはりリーダー格の男だった。
「やっぱお前もそう思う?」
「んなわけねーだろうが」
「ん? なんか言ったか?」
 おっといけねえ。思わず本音が声に出ちまった。んっんんっと喉を鳴らし、意味もなく廊下の窓を開閉する。……よし、今日もいい天気で滑りも良し、と。そんな乱馬の演技力が光ったのか、さして後ろも気にしないまま、男子生徒達はこの年齢特有の夢見がちな妄想を広げて止まない。
「っていうか、もし本当に処女だったらどうする?」
「だって先生ってまだ二十三だろ? 充分あり得るって」
「いや、でも経験済みの先生に優しく筆下ろしされるってのもまた夢があるよなぁ」
「そうかな。どっちかっつーとおれは処女だと思うけど」
「それはお前の願望だろうが」
 ギャハハと下品な笑い声が廊下に響く。
(ぶわーか! 言っとくけどあいつは既におれのもんなんだからな!? ついこの間だってあんな事やこんな事もしたばっかだっつーの!)
 こんな時、教師の立場というのは何とも厄介だ。もしも奴らと対等な立場なら「妙な想像すんじゃねえ」と小突いてやれるところ、今は窓のサッシをチェックする謎のお兄さんに徹するより他ならない。そんな窓のチェッカーに狙われているとも知らず、命知らずな三人組はいよいよ勝手な盛り上がりを見せる。
「先生ってさ、全然すれた感じがしないんだよなぁ」
「そうそう」
「それでいて隙もねえっつうか」
「そうなんだよなー。あのガードの硬さが“操を大事にしてます”って感じで余計萌える」
「操ってなんだよ、表現古過ぎんだろ」
 またもや響き渡る笑い声。その中にチッと舌打ちが混じっていることなど、誰も気付いていない。
「そういえばこの前、ちょっと胸元の開いた服着てた時あるじゃん?」
 なぬっ!?
「それがさ、すげえ似合っててかわいいの」
 ちょっと待て。それってあれか? 昨日のニット……は首元が詰まってたし、もしかして一昨日着てたカットソーのことだよな? なんかやたらへにゃへにゃした、柔らかそうな生地のやつ。
 確かにあれはあかねによく似合ってた。
「あん時さ、ちょっと上から覗くと見えそうで見えねえ感じが超エロかった」
 はあっ!?
「あ、お前も気付いてた?」
「当然」
 ばかやろーっ! 気付いてたんならおれにも教えろ……じゃなくて、なにふざけたこと言ってやがるんだ!
 思わずスパーンと窓を開け放ち、その勢いに一人だけちらりと後ろを振り向いた。が、特に乱馬のことを気にする様子はない。そして尚も男子高校生の宴は続く。
「先生って色白いんだよなー。あれで実は日焼けの跡とかあったらエロくね?」
「わかる」
「日焼けの跡っつうか、あの白い肌にキスマークとかつけたら超興奮するよな」
「すげえわかる!」
「あー、考えてたら興奮してきた」
「バカっ、お前こんなとこで盛るなよ」
「やべえ、ちょっとシャレになんなくなってきた。どうする!?」
「バーカ、トイレで抜いて来いっての」
「んじゃ、わりーけど午後の授業寝てたらノート貸して」
「おい、ホントに抜く気かよ」
 今日一番の笑いがどっと起きたところで、やれやれと集団が教室に入っていくのを見届けた。
(三年C組か……覚えとけよ)
 なんとも不穏な感情で腹の底が仄暗く冷えてくる。
 大体、なにが処女だ。キスマークだ。他人の女で勝手な想像すんじゃねえ。ムカムカと湧き上がるような腹ただしさ。それと同時にぶわっと膨らむのは情事の際のあかねの姿で。
 乱馬の腕の下で、頬を紅潮させるあかね。汗でしっとりと湿った肌は二人をより密着させ、乱れた吐息を交換するように交わす唇からは懇願するように互いの名を呼び合い、のぼり詰めていく。
 ──乱、馬ぁ……っ、
 そうそう、最後は快感を逃がさないよう腰の後ろに両足を絡ませてくるのがたまらねーんだよな……ってバカ、こんなとこでおれまでおっ勃ててる場合じゃねえっつーの。
 じわりと熱が集中するそこをやり過ごすよう、何の脈絡もなくストレッチを施して階段を降りる。
 それにしても男子高校生なんて碌なもんじゃない。自分が高校生の頃はもう少し慎みなんてもんがあったよなぁと振り返りつつ、もしかしたら当時の自分は非常にピュアかつ幼かったのではないか。そんな疑問を悶々と抱いていた時だった。
「あら、早乙女先生。こんな所でどうしたんですか?」
 聞き慣れた声にハッと意識を引き戻される。そこには白衣姿のあかねが立っており、両手が空いていることからおそらく先程の書類を職員室に届けた帰りなのだろう。
 じろりと上から舐めるように姿を確認する。
「な、なんですか?」
 今日は……特に胸元が開いたり透けたりはしてねーよな。
 よし、と安心する一方で、姿を見てしまうと忘れかけていた熱が再びよみがえってくるのを感じる。
 それを逃がすよう、無意識に腹の前を手で押さえて二度三度さすってみた。が、何を勘違いしたのか、あかねが心配そうに乱馬の顔を覗き込んでくる。
「やだ、お腹痛いの? 変なものでも食べた?」
「おめーの飯じゃあるめーし」
「なにそれ。つまらない駄洒落」
「駄洒落じゃねーよっ」
 なにが頭に来るって、この態度だ。さっきの生徒達同様、乱馬に対しても何一つ変わらず澄ました顔して接してくるのがたまらない。二人きりの時はあんなに甘えてくるくせに。あんなに乱れて、くったりもたれ掛かってくるくせに。
 …………。
「そういえば天道先生、ひとつ伺いたいことがあるんですけど」
「なんですか? 早乙女先生」
 急にトーンの変わった乱馬の声に、あかねも教師の顔で答える。が、乱馬が見たいのはこの仮面の下にある素顔のあかねの姿で。
 ムラムラと湧き上がる衝動。それを必死で隠し、弱々しげな声を出すのに成功した。
「ちょっと探しものするのを手伝ってもらえます?」
 幸い、隣は備品倉庫で中の明かりはついていない。くいっとそこを指差せばお人好しはまんまと罠に掛かり、「もちろん」と予想通りの態度で返す。
「どーも」
 乱馬は笑い出したくなるのを堪え、備品倉庫の扉を開けると押し込めるようにあかねの肩を押した。
 後ろ手で扉を引き寄せ、バタンと扉を閉める。明かりなんて必要ない。代わりに縦型のサムターンを回し、内からカチリと鍵を掛ける。
「や、やだ、なに……!?」
「しっ。声、出すなよ」
 右手であかねの口を塞ぎ、左手はブラウスの裾から滑り込ませる。瞬間、手の平に湿った唇の感触が走って、そこから一気に体温が上昇した。
「……っ!」
 一体なんなの!? と上目遣いで睨まれるのも構わず胸元まで捲り上げる。窓からの光が届かない薄暗い室内でもわかるのは、魚のように白いあかねの腹で。先程までスカートの中に収まっていたブラウスが、今はブラジャーと素肌の境目で勿体つけるようにひらひら揺れて艶めかしいことこの上ない。
「や……っ、探しものじゃなかったの!?」
「だから探しものだっつーの。協力しろよ」
 
 ──あの白い肌にキスマークとかつけたら超興奮するよな
 
 剥き出しになった柔らかい質感。その脇腹に薄っすらと色の変わった痕を確認し、乱馬は満足げな笑みを口角に浮かべた。
「まだ残ってたか」
「って何が、」
 口から手を離され、ひそひそと、それでいて叱りつけるようにあかねが聞き返す。しかし、怒りたいのはこっちのほうだ。身を屈めて顔の前にあかねの腰を抱き寄せると、無防備になった腹に唇を押し付ける。ああ、ほら。そうやって怒ったフリしても、つい癖のようにくしゃりと頭を抱きかかえたりして、本当に質が悪いったらありゃしない。それに応えるよう、じゅ……っと吸い付き、歯を立てる。
「っ、いた……っ!」
 深く歯型を残さないよう、ギリギリのところで感情をコントロールして口を離す。青白い腹にてらりと光る唾液の下には、新しく紅い花がひとつ刻まれていた。
「これは嘘ついた罰でい」
「嘘って……」
「おめー、付き合ってる奴いねーんだって?」
「あ、あれは、仕方ないじゃない!」
「うるせー。次嘘ついたらもっとお仕置きしてやるからな」
 こんな風に、とスカート間に自分の膝を突き立てる。ぐりぐりと柔らかなとこを刺激するその動きはいつもの律動を思わせ、刹那、ビクンとあかねの身体が強張った。
 そこに予鈴が鳴り、タイムオーバーのタオルが投げ入れられる。
 真っ赤な顔で睨み付けるあかねに舌を出し、お先にと部屋を出れば、罵声の代わりにガコンと派手な音がした。おそらく扉にガムテープか何かを投げつけたのだろう。
 くくっと笑いを噛み殺し、先程とうって変わって軽快に階段を一段飛ばしで駆け下りる。
 いいか、ガキ共。あ―見えて天道先生って夜はもっと素直でかわいーんだぞ。
 最初こそ恥ずかしがるものの、ゆっくりほぐしていくうちに甘い嬌声で啼き出して、最後なんてイッちゃやだやだなんて言いながらギュウギュウ締め付けてくんだから……ってまずい、また変な気になってきた。
(くそ~、これはこれで早く慣れなきゃ身が持たねーぜ……)
 ずんと重たくなる腰。そこをトントンと拳で叩き、ついでに先程のあかねの顔を思い出す。
 痛いと涙目になりながら、乱れた服装で自分を見下ろす赤い顔。その服の下からはチラチラとレースに包まれた膨らみが見え隠れして……。うん、これはこれで悪くない。というか、男の征服欲をそそるに余りあることを、いい加減あかねも少しは自覚すべきだろう。
(にしても備品倉庫かぁ。なかなかの穴場だよな)
 どうせだったら今度はもっと時間に余裕をもって誘い出してみようか。無論、多少の警戒はもたれるかもしれないが、そんなことは知ったこっちゃない。今度こそだらしなく頬が緩み、そんな姿を見て「早乙女先生、なんか機嫌がいいね」なんて的外れな声まで聞こえてくる。
 大体、さ。
 あかねが三十年後まで独りでいるわけねーだろうが。何のためにおれが侘しい思いしてまで一人暮らししてんのか、ガキ共にわかるはずないっての。
(っつーか、なんだよ。あかねが処女って)
 思えば昔からそうだった。クラスのみんながあかねの初体験に思いを巡らせ、隙あらば自分の手で摘み取ろうとする清廉無垢な象徴的存在。
 それを自分が奪い、今も乱馬一人しか知らない。
 もう四年以上も前のことになるのに、ここ一年離れ離れだったこともあり、気持ちは初めて体を重ねた時から愛しさだけを増している。と同時に、否応なしにも高まってくるのはあかねへの想いと男の下半身事情で。
(あーっ! だからここで勃ってる場合じゃねえんだってば!)
 
 かくして、その後のあかね先生と三年C組の運命やいかに。
 そんな謎も残しつつ、早乙女先生と天道先生の秘密の関係はまだまだ続くのだった。
 
 
 
 < To Be Continued >
 
 

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comment (10) @ 社会人パラレル 先生にだって秘密はある

   
先生にだって秘密はある ⑤備品倉庫の密事  | 先生にだって秘密はある ③赤いたぬきと黒いきつね 

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2018/04/26 Thu 00:41:19
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2018/04/26 Thu 10:22:15
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2018/04/26 Thu 23:12:29
Re: 祝・不定期連載!! : koh @-
k~コメント主様

おかげさまで自分が思っていたよりも好意的なご意見が多く……////
なにより、書いていてお気楽楽しいのと妄想が尽きないので、「こりゃ一冊にまとめるのは無理だ」と諦めました(*^^*)
あ、でもそうはいってももうひとつの社会人編や大学生編、お隣シリーズも妄想ネタストックだけは山のようにあるのです。Oh……。
でもってやってしまいました汗。昨晩からの仕事を昼に一旦区切りをつけ、そのまま寝てしまえばいいのについ出来心で……。(流石におやつの時間に力尽きて寝ました)
勢い大事っ!疲れた時はセルフピンク脳っ!というわけで。
製本化しない→予定になかった四話目がひょっこり追加される→そこから更にピンクに発展……。
「こいつ、いつものパターンで色々書く気だな」と呆れられる覚悟で遊ぶので、またぼちぼちお付き合いください^^。
PS.乱馬君は永遠の思春期ですよ////
2018/04/26 Thu 23:53:04 URL
Re: ありがとうございました!! : koh @-
m~コメント主様

わかります~!私もあかねちゃんがヤキモキするのは書いていて辛いというか、「あー、早く逆転するところまで書き上げたい」と思うのですが、乱馬に関しては「どんどんヤキモチを妬くがいい♪」くらいで。
原作でも乱馬はヤキモチ妬いてますが、あくまであかねちゃんの知らないところでが多かったりするんですよね。(Pちゃんやムースを蹴散らかすことは当たり前として……)
そしてこの先生編は中国から一年振りに帰って来たばかりということもあり、私の中で普通+二割増しくらいで乱馬を素直に書くことが出来るので楽しいのです^^。
それにしても、高校生の頃って教育実習でかわいい先生が来たらわりと本気で男の子がモーション掛けていた気がします。あの頃って私服のお姉さんがすごくかわいく見えたんですよね……きっとあかねちゃんもそんな目で見られているはず。
かといって堂々と自分の彼女(兼許婚)宣言出来ないこの状況が美味しくて美味しくて。
これだけで妄想がフルスロットル状態の私 笑。
シリーズを好きと言っていただけることも、とても励みになります。どんどん調子に乗ってしまって引かれないか心配ですが、また一緒に楽しんでいただけると嬉しいです♡
2018/04/27 Fri 00:02:21 URL
Re: No title : koh @-
り~コメント主様

ありがとうございます////
このシリーズに限らないのですが、ネタだけは色々ありまして……。
多分、この先生シリーズだけでもあと二十くらいは書ける(はず)となっています^^。
あとは気分と体力次第。←これが一番厄介
このシリーズはラストを決めているだけに、書いていてとってもお気楽なんですよ。
多分、どのシリーズよりも気難しさはないはずで。
だからこそ慣れない三人称に挑戦してそこだけが難しいのですが、これからも楽しんでいただけるように無理せずのんびりいきますね。
社会人編はRを絡ませるのにあまり抵抗がないのも楽だわ~////
(高校生編だと線引きを相当悩むのです💦)
2018/04/27 Fri 00:16:20 URL
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2018/04/27 Fri 09:35:24
Re: No title : koh @-
Y~コメント主様

わーい、ありがとうございます////
面白い、楽しみと言っていただけると純粋にすごく嬉しいです!
そしてすぐ調子に乗っちゃう……。←
とにかくお気楽モードなこのシリーズなので、難しいことを考えたくない時には私にも読んでくださる方にもピッタリなのかな、と^^。
ポンポンと一話ずつ読切り形式なので、またタイミングを見て創作しますね。
ありがとうございました♡
2018/04/27 Fri 15:26:30 URL
もぉぉーーー!! : 憂すけ @-
先生乱馬、最高か…!!
涙ぐましい姿にあたしは笑いを押さえられないですよ・・・!!
高校三年生の男子が三人。そりゃ、乱馬だって内心穏やかじゃいられないっすわ。
身体だけで言ったらもう大人のガタイだし。
頭ン中はピーで一杯だし。(^^;)
あぁ、でも・・・ゴメン、何かスッキリしちゃいました。だーって、あかね先生ばっか女子高生に妬くのって、ねぇ?不平等じゃないっすか?
だから、拝読しててニヤニヤが止まらなかったー!この顔のままお次へGOです♡( ̄▽ ̄)
2018/04/30 Mon 15:32:36 URL
Re: もぉぉーーー!! : koh @-
憂すけさん

なんだかんだで、あかねちゃんのヤキモチは笑えてかわいいレベルですが、乱馬のヤキモチは笑えないような気がします。
その後の3-Cの運命よ……。
っていうか、最も“そういうこと”に興味津々なお年頃の学校に白衣のあかねちゃんですよ。しかも傷を癒し、看病してくれる天道先生……。これで男子が群がらないはずがない。
乱馬がわかりやすくキャアキャア言われる存在だとしたら、天道先生はひっそりと隠し撮りが密売されるようなイメージです笑。
そして少し女子に妬まれるっていう……。(細かい)
一体どこまで嘘をつき通して、どんな秘密が隠されているのか、引き続きお付き合いください♡
2018/05/02 Wed 08:42:54 URL

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